新型コロナの中、世界各国のリーダーたちのスピーチを聞いて、「心に響くもの」「心に入ってこないもの」を感じることはなかっただろうか。そして、その説得力によって、人々が自粛を自主的にするか、それともイヤイヤさせられ不満をためているか、大きく変わる現状も見てこなかっただろうか。

人を動かすスピーチには理由があるといいつづけてきたのが、NYに暮らし、スピーチ大会5連覇を成し遂げたリップシャッツ信元夏代さんだ。多くの企業の事業戦略コンサルタントとして活躍するプロスピーカーでもある信元さんは、「伝わる言葉の選び方」「言葉が伝わらない理由」を明確に教えてくれる。そのノウハウをまとめた本『世界のエリートは「自分のことば」で人を動かす』より、発売を記念して特に日本人が陥りがちな「オレオレ・スピーチ」について抜粋掲載する。

政治家も陥りがちな
「オレオレ・スピーチ」とは

最近の若手ビジネスパーソンは、職場の飲み会や忘年会を嫌ってスルーする人が増えているようです。理由は「お金を払ってまで上司の自慢話や説教を聞きたくないから」だとか。
当然です。誰もそんなものは聞きたくないに決まっているわけで、仕方なく聞くか、あるいは聞いているフリをしているだけでしょう。自慢話は、まったく賢明なストーリーではありません。

2019年の年末には「#忘年会スルー」がトレンド入り。飲むのが嫌なのではない、自慢話を聞かされるのが嫌なんだという声も(写真はイメージです。写真の人物は本文と関係ありません)Photo by iStock 

ですが、いまだに多くのエグゼクティブたちがストーリーを語ることを、手柄話を語るとカン違いをして「オレオレ・スピーチ」をしているのも事実です。
 
私が東京で行ったパブリックスピーキングのイベントに、政治家のMさんがいらっしゃいました。イベント終了後に「とても参考になった、ぜひとも実践したい!」と興奮気味にお話ししてくださるMさんから、1つ質問をいただきました。
「政治家の演説はどうしても、”オレオレ・スピーチ”が基本なんです。自分の実績を有権者にアピールしないといけません。どうしたらいいのでしょうか?」
 
私は常々、「オレオレ・スピーチから脱却せよ!」と提唱しています。
 
政治家でなくとも、「オレオレ・スピーチ」になってしまうケースはよく見られます。自分が気づかぬうちにしている人が多いのです。
 
なぜ「オレオレ・スピーチ」から脱却すべきなのか、それをどうやって脱却するのかを説明しましょう。