人種差別と経済格差をすり替えている

問題点の2つ目は、人種差別を経済格差の問題にしてしまっていること。同アニメでは黒人男性がナレーター役として登場し、「俺たちが怒るその背景には、俺たち黒人と白人に貧富の格差があるんだ」と語り、白人の平均資産は黒人の7倍、45%の黒人がコロナ禍で労働時間の削減や失業に追い込まれたと主張する。

確かに、黒人を含む有色人種は平均資産が白人よりも低く、エッセンシャルワーカーがより多いから、コロナ禍で人種間の経済格差が浮き彫りになったことは間違いない。しかし、今起こっているデモは「(白人や他の有色人種と同じく)黒人の“命”も大切だ」という抗議運動なのである。つまり、人種差別問題が経済格差へと、なぜかすり替わっているのだ。

「私たちの兄弟、姉妹、家族、友達を殺さないで」。6月7日にニューヨークのタイムズスクエアで行われたデモで掲げられたサイン〔PHOTO〕Getty Images
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経済格差は奴隷制や人種隔離政策から連綿と続く人種差別の産物であって、BLMの本質ではない。アニメでわかりやすく伝えようとしたとはいえ、奴隷制や人種隔離政策、公民権運動、警察の暴力、そして「Systemic Racism(システム化された人種差別/制度的・構造的差別)」が背景にあることをきちんと伝えるべきだったのだ。