打ちたかったのに
「え、あれを打つんですか?」の声に阻まれた

私も友人から「子どもたちがHPVワクチンを打ちそびれた」と聞いたことがある。親たちがよくいうのは「大事なことだとわかっているけれど、気持ちが決まらなかった。モヤモヤしたまま時間ばかりが過ぎてしまった」ということ、また「自治体の窓口に問い合わせるのは、ハードルが高い」ということだ。ある人は自治体相談窓口に問い合わせたところ「え、あれを打つんですか?」という対応だったという。納得いくまで調べた上でワクチン接種を決めたとしても、そのような対応では多くの人が尻込みしてしまうだろう。

接種したいと考えていても、情報がなく時期を逃している人も多い。photo/Getty Images

公費で受けられる予防接種には、ほかにも風疹や麻疹、B型肝炎ワクチンなどいくつかあって、自治体のWEBサイトで調べようと思えば情報は手に入る。接種可能なワクチンが一覧になっていて、接種できる年齢などの情報が記載されている。

どんなワクチンにも何らかの副作用があるものだ。だから、そのワクチンを使うことでのメリット、デメリットをしっかり説明することは必要であり、実施主体である自治体や国の義務だと思う。問題はそれが、十分にかつ医学的根拠に基づいて説明がなされているかどうかだ。

子宮頸がんワクチンについて自治体のサイトを見てみると、最初から「厚生労働省の勧告に基づき、現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません」と記載されているものもある。

また、病気についての説明、ワクチン接種時の注意点や副反応のこと、接種後の痛みの診療についてなどの説明書きがあっても、「ワクチン接種後の様々な症状はHPVワクチン接種との明らかな関連性は認められなかった」という大規模調査については触れられていない(※)。

※子宮頸がんのHPVワクチンと有害事象に関する調査「名古屋スタディ」のこと
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708
その後、国際ジャーナルで発表された

現在、日本産科婦人科学会は、子宮頸がんワクチンに関する正しい理解を求め、接種推進の立場だ。WHO(世界保健機構)も「日本のHPVワクチンの接種率の低さ(1%未満)は、真に有害な結果となり得る」と警告しているが、そのことも伝えられていない。

ワクチン接種をする際には、副作用や安全に十分に配慮して説明を行うことは重要だ。だが「本当に打つんですか?」「積極的に勧めていません」。こうした対応ばかりが目につき、結果的に、ワクチン接種を押しとどめてしまっている。