他人事ではない黒人差別抗議デモ、曖昧な「主語」をどう見るべきか

香港デモとの共通点と差異から考える
石井 大智 プロフィール

体制側は抗議活動がしばしば特定の組織によって行われているものとみなしがちで、トランプ大統領は急進左派のアンティファをテロ組織に指定すると述べているが、アンティファ自体はそもそも「ネットワーク」であり強固な指揮系統を持った組織ではない。

香港でも中央政府や政府系メディアによって一部の民主活動家が批判され、4月18日に民主派の重鎮ら15人を一斉に逮捕したように、彼らが逮捕されることもある。しかし、彼らが逮捕されたからと言って抗議活動がおさまるわけでない。組織的なものの影響が全くないわけではなくとも、基本的には個々人がバラバラに参加していると見るべきだろう。

だからこそ「抗議者」や「プロテスター」という主語は極めて曖昧になってしまう。リーダーがいればそのリーダーの言説を抗議者の代表的意見として取り上げることができるが、香港とアメリカのデモの場合そうではない。

香港もアメリカのデモも抗議者は多種多様だ。そして彼らは平和的な抗議活動から暴力的な行為まで多種多様な行動をしているために、切り取る場所によって「抗議者」という同じ主語でいくらでも違う述語を決定できてしまう。

 

そしてSNSやメディアはどちらかといえば過激な映像を強調しがちなので、その中でも極端なものが強調されやすい。

例えば香港やアメリカの抗議活動においては「抗議者が店舗を破壊している」といった言説が映像とともにSNSやメディアで拡散されている。そのような情報は拡散されやすいが「抗議者」のどれほどが店舗の破壊に参加しているのか不明瞭にさせる。

その映像だけでは抗議者の全員が店舗の破壊に参加していると思う人が出てもおかしくない。それは例えば警察についても同じで、両地において警察側の暴力行為が映像とともに拡散されているが、暴力的ではない通常の警察にはなかなか焦点は当てられない。それがどの程度の範囲で実際に発生しているのかはなかなか検証されないのだ。

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