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他人事ではない黒人差別抗議デモ、曖昧な「主語」をどう見るべきか

香港デモとの共通点と差異から考える

香港デモからBLMデモをどう見るか

2019年に成立した「香港人権・民主主義法」をはじめ、米中関係に強く影響される香港にとってアメリカで起きていることは他人事ではない。

さらに今回起きているBLMデモは香港で起きているものと同じ大規模な社会運動で香港でも少なくない関心が持たれている。例えば、アメリカ政府に香港の抗議者への支援を求めるジョシュア・ウォン(黄之鋒)氏は、自身のTwitterでBLMデモへの賛成の意を示している。

香港の社会運動を観察してきた筆者にとってもBLMデモは強い関心事項である。そこで、ともに大規模な社会運動である両者にどのような共通性と差異が見いだせるかを通して、両者をはじめとした近年の大規模な社会運動について理解する一つの手がかりを提供できればと思う。

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筆者はアメリカを専門とするわけではなく、アメリカのBLMデモを実際に見たわけではないので、BLMデモについての情報は報道やSNSを通してのものしか有しないというのを断っておきたい。

またBLM自体は2013年のトレイボン・マーティン氏射殺事件を契機に拡散された言葉ではあるが、本記事では便宜的に2020年5月以降に起きている抗議活動を指す。

大規模なデモにおいては「主語」が曖昧に

まず両者の共通点はデモに関わる様々な言説で「主語」が曖昧となっていることだ。香港のデモもアメリカのデモも全体を統率するリーダーが明確なわけではなく、人々はSNSなどの呼びかけを見て個々人として集まる。