「日経平均の動きが実体経済と結びついていない」と言う人たちが見落としていることがある photo/iStock

日本株が絶好調なのは「おかしい」と言う人たち、じつは危ないワケ

元ゴールドマン・サックス社員が語った

「株高はおかしい」と言う人たちの、大きな誤解

コロナショックはどこへやら、日経平均は2月の水準に戻り、アメリカのダウ平均も好調が続いている。

この現状に、「日経平均の動きが実体経済と結びついていない」「金融緩和によるマネーゲームだ」と警鐘を鳴らす人が少なからずいる。周囲を見渡せば、潰れた飲食店、いまだ営業していないレジャー施設、収入が減ったと嘆く人が散逸され、未来への不安が蔓延しているからだ。

しかし、実はこのような意見の多くは、株の概念への誤解により起こっている。過去の有事における株価急落時にも、足元の経済に比べ株価だけが急速に戻すことは頻発していた。ゴールドマン・サックスでプロの投資家として長年投資に従事してきた私としては、現状の株高にもそこまでの驚きはない。

実体経済はポジティブに思えない中で、なぜ今株高が起こるのかーー?株を改めて考え直し、その根本について考えてみたい。

一時は2万円割れした日経平均は急回復してきた photo/gettyimages
 

まずは、株とは何か?を考えてみよう。

大雑把にいえば、株とはその発行体の経営や利益の分配を得られる権利である。

そのため、株の価値とは発行企業の事業価値で決まる。つまり、日本経済の指標(GDPや景気の様々な指数など)とは、当然だが直接の関係はない。

もちろん日本経済の景気動向は、企業の事業に影響を与える要素であるため、まったく関係ないとはいえない。しかし、例えばコロナ禍でいうと、大きな打撃を受けた航空業界や、旅行業界もあれば、追い風となった物流業界や小売業界もある。つまり、どう影響が出るかは大きな差があり、日本経済の指標はあくまで間接的な影響に過ぎない。

実体経済と、個別企業の株価は、リンクするしないの議論をするまでもなく、リンクしなくて当然。株投資を行う際の、数ある指標の一つにすぎないのである。