正義という名の棍棒を振り回す「ゼロリスク信者」たち

あなたの、その正しさは本当に正しいか
週刊現代 プロフィール

コロナ禍が長引くにつれ、排除の力も、ますます強くなる一方だ。

最近では、山梨県の実家に帰省していた20代の女性が、新型コロナに感染していると知りながら高速バスで東京に戻っていたことが報じられた。この女性はインターネット上で、本名や家族構成、勤務先まで特定される事態に発展した。

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「他人のことを知りたいという人間がもともと持っていた欲望に、『感染の危険から命を守る』という『正しさ』を都合よく利用した、残酷でおぞましい事件だと思います」

新型コロナにかかった有名人が謝ることも増えた。プロ野球選手の藤浪晋太郎は謝罪会見を開き、俳優の石田純一はテレビ局の取材に対して「深く反省していることと同時に謝りたいです」と答えた。こうした状況が続くことに、磯野氏は強い危機感を抱く。

 

「有名人の謝罪が続くと、この感染症にかかってしまえば『自己管理を失敗した人』というレッテルを貼られてしまう。いまや感染者は加害者扱いを受けています。放っておくと、新型コロナは完璧な管理下に置けるかのような空気が生まれかねません。

当たり前のことですが、人は必ず病気になります。どんな病であっても感染リスクからは絶対に逃れられません。

そもそも、なぜ新型コロナに感染してはいけないのでしょうか。いま世間に根付きつつある『絶対に感染してはいけない』という考え方に違和感があります。エボラ出血熱のように致死率が高いわけではありません。過度に感染を恐れて行動を制限するほうが危険です」