韓国の文在寅大統領は6月8日、青瓦台首席秘書官・補佐官会議の冒頭、尹美香(ユン・ミヒャン)・正義連疑惑について初めて語った。
元慰安婦の中心人物、李容洙(イ・ヨンス)氏の告発以来、実に32日ぶりのことである。文大統領の発言内容は、伊氏、李氏のどちらにもくみしないあたりさわりのないもののように聞こえるが、その真の意図は伊氏と正義連をかばうものであり、これに対して、現実に即していないとの批判が韓国の主要メディアから提起されている。
ここのところ韓国では市民社会団体が文政権の擁護団体と化しており、市民運動が政権への登竜門とさえなっている。その中心となるのが、参与連帯や民主社会のための弁護士会(民弁)であり、青瓦台の秘書官、政府、与党に次々に入っている。そうした体質から、文政権は市民運動家の不正を暴けない実態が透けて見える。
これは、今後日韓に横たわる種々の問題、例えば元徴用工問題でも、市民社会団体の言いなりになって、日本への不当な対応に繋がり兼ねない。
冒頭の会議に戻ろう。ここで文在寅氏は、「慰安婦運動をめぐる騒動が非常に混乱している。30年間の慰安婦運動は決して否定したり蔑んだりすることが出来ない歴史だ」「一部で慰安婦運動自体を否定して運動の大義に傷をつけようとする試みは適切ではない」などと語った。
さらに、「(このような試みは)慰安婦被害者たちの尊厳と名誉まで傷つけるものであり」「慰安婦運動の正当性に対する根本的な挑戦だ」と語り、正義連を批判する保守系政治家やメディアに、その批判の矛先を向けたのだ。