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小池百合子氏「たった55日の防衛大臣」時代に起こした大混乱の真相

救世主として現れ、怪物として去った

防衛大臣時代からの「怪物ぶり」

『女帝 小池百合子』(石井妙子・文藝春秋)を読了した。政界を上り詰め、今は東京都知事の職にある小池氏。その等身大の姿を描いた渾身のノンフィクションだ。

短い期間とはいえ、防衛相と記者という立場で小池氏と接した私の読後感は、共感を意味する「やはり」のひと言に尽きる。

小池氏が防衛相の職にあったのは、わずか55日間だったが、身近で見た小池氏の姿は『女帝』に描かれた人物像とぴたり重なる。帯に書かれた「救世主か? “怪物か”」との言葉通り、救世主として防衛省に現れ、“怪物”として去って行った。

 

お膳立ては揃っていた。

前任の久間章夫防衛相は講演会で、米国が広島と長崎に原爆を投下したことについて、「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、今しょうがないなと思っている」と述べた、いわゆる「原爆しょうがない」発言の責任を取って辞任した。これを受けて、小池氏は2007年7月4日、第一次安倍晋三政権下で防衛相の職に付いた。

当時の防衛省は、アフガニスタン攻撃に向かう米軍艦艇などへ自衛隊が燃料を洋上補給するテロ対策特別措置法の期限が10月に迫り、米国から延長を迫られていた。また前年、日米で合意した辺野古新基地をめぐり、沖縄の強い反発を招いてもいた。

徐々に民主党が勢いづき、これまでの防衛政策が維持される保障はなかった。

こうした難題を抱えたうえ、もともと硬派なイメージの防衛省。そこへ初の女性大臣である。

防衛相就任当時の小池氏と安倍首相(Photo by gettyimages)