加害者なのにラブストーリーのヒロインに

当時アメリカに住んでいた筆者は、この事件がセンセーショナルでタブーなラブストーリーように映し出されていることに違和感を覚えた。テレビでは連日、メアリーの厳格な両親、父親の浮気、望まない元夫との妊娠と早すぎた結婚、元夫の絶え間ない浮気……などが同情的に報じられ、メアリーは「犯罪者」というよりは「悲恋のヒロイン」のようだった。そして2人が結婚した暁には、メディアはラブロマンスについにハッピー・エンドがきたかのように伝えたのである。

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実際に、メアリーもヴィリも自分たちのことを悲劇の主人公だと信じていたように思う。出所したメアリーはテレビ番組で「これは問題になるとは分かっていた。でも、犯罪だとは思わなかった。ただ、社会的規範に反するだけで」と語っていたし、ヴィリ自身も関係を自ら望んだと主張していたのだ。

筆者には12歳の息子がいるが、この年頃の子供は性への憧れはあっても、セックスの知識、責任や結果の意味は理解できていないと思う。だからこそ、性的同意年齢(性行為の同意能力があるとみなされる年齢)が法律で授けられているのだ。実際にアメリカでは多くの州で21歳以上の成人による17歳未満の子供との性的行為は性犯罪だと規定している。

もし、メアリーが男性でヴィリが女の子だったら……? 34歳の男性教師と13歳の女子生徒の関係を、誰がラブストーリーだと捉えるだろうか

結局、2005年から12年続いたメアリーとヴィリの結婚生活は、2017年にヴィリが離婚訴訟を起こして破綻した。そして、ヴィリを取材した『People』誌の記者によると、ヴィリはやっとクリアに物事が見えるようになり、2人の関係はスタートからして不健康なものだったということに気づいたとう。現在、メアリーは58歳、ヴィリは36歳である。