ジョディ・フォスターがアカデミー主演女優賞を獲った『告発の行方』(1988)。この作品は公開当時、映画の内容が社会意識や法制度よりも先を行っていることから、世界中に大きな衝撃を与えた。
バーでレイプされる女性をジョディ・フォスターが演じているのだが、女性がどれほど気のある素振りをしようが、どれほど露出した服装をしていようが「ノーと言えば性的同意がない」とみなされる。また、レイプを周りで囃し立てた人も暴行教唆罪に値し、レイプ犯と同じ刑事罰を課される、という先進的な裁判を描いた物語だ。

本作は、1980年代後半に横行していた「被害者女性にも責任がある場合がある」「レイプに加わらなければ無罪」といった社会的意識を覆そうとしたのである。

そして、現在公開中のデンマーク映画『罪と女王』もまた、『告発の行方』のように私達の社会意識を変えようとする作品だ。

〔PHOTO〕『罪と女王』より

医師の夫と2人の子どもたちに囲まれ幸せな生活を送る、児童保護の弁護士であるアンナ(トリーヌ・ディルホ)が、夫の連れ子であるグスタフ(グスタフ・リン)と禁断の関係を結ぶ物語なのだが、これまでの成年女性と少年の関係を描いた作品の多くが少年の被害者性に触れることがなかったのに対し、本作では、少年の精神的未熟性や純粋性を、成年女性の賢さや計算高さと対比しながら浮き彫りにしている。

大人の男性と少女の性行為が性犯罪であることは誰もが疑わないだろう。だが、大人の女性と少年の性行為は、その犯罪性が見落とされがちだ。

“思春期の通過儀礼”として描く映画

成年女性と少年の性的行為を“思春期の通過儀礼”として美化する作品には枚挙にいとまがない。たとえば、ラブロマンスの大ヒット作である『愛を読むひと』(2008)。15歳の少年とケイト・ウィンスレット演じる21歳年上の女性との恋愛を描いているが、少年が2人の関係に苦悩する心理を描写しても、その原因は“戦争”と純愛”とされ、年上の女性も不幸で美しい女性として描かれている。

また、ジュディ・ディンチとケイト・ブランシェットのダブル主演による『あるスキャンダルの覚え書き』(2006)では、ケイト・ブランシェット演じる女性教師は、満たされぬ結婚生活を送っている美貌の女性として描かれており、関係をもった、彼女の生徒である15歳の少年が傷ついている様子は一切描かれていない。

実はこの『あるスキャンダルの覚え書き』は、アメリカで1997年に実際に起きた事件をモチーフにしている。