コロナ禍と戦時下の日本 非常時に現れる「正義を振りかざす人々」

戦時下の警防団と自粛警察の共通点

4月7日に発出された、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が5月25日に解除され、社会もようやく元の生活を取り戻しつつある。だが、6月3日には東京都で34名の感染者が確認されたことから、都知事は独自の「東京アラート」を出し、都民によりいっそうの警戒を呼びかけた。

そんな、誰もが先行きに不安を覚える状況を反映してか、営業自粛や移動制限を過剰に解釈し、ルールの解釈が自分と異なる他人に対して嫌がらせをするなどの行き過ぎた行動をとる、いわゆる「自粛警察」も一向にその数が減らないのだという。しかしこのようなことは、いまに始まったわけではなく、75年前の戦時中にも似た例があった。いつか来た道、「歴史は繰り返す」のか――。

「おかわいそうに事件」の真相

6月2日、時事通信が報じた〈宣言解除後も1日30件 東京のコロナ関連110番「居酒屋が3密」など・警視庁〉と題する記事によると、

〈東京都内の新型コロナウイルス関連の110番が、緊急事態宣言が解除された先月25日の翌日以降も1日平均30件近く寄せられていることが2日、警視庁への取材でわかった。
 解除前1週間とほぼ同水準で、専門家は「宣言解除は早すぎると考えている人の不安やストレスを反映しているのでは」と指摘する。〉

とある。

3月下旬、満開の桜の名所が封鎖され、4月7日には緊急事態宣言が関東、近畿の7都府県に発令され、16日には全国に拡大した

「居酒屋が3密」など、店舗の営業や生活騒音に関するものが目立つというこれら110番が、警察の業務に直接関係のない、それこそ「不要不急」なものがほとんどであることは想像にかたくない。

110番にとどまらず、他都道府県ナンバーの車や、営業している店舗、公園で遊んでいる子供、旅行鞄を持っている人、感染者との接触の可能性が高い医療従事者などに対する謂れなき嫌がらせは後を絶たない。