高校入試「英語スピーキングテスト」が、日本の英語教育を破壊する

来年度から都立高校入試で始まるが…
田中 圭太郎 プロフィール

言うまでもなく高校入試では、1点、2点のわずかな差が進路を左右する。前出の都立高校の英語教員は「いまのままではスピーキングテストは信頼できない」として、次のように憤る。

「どこの誰が採点しているのかわからない民間のテストを、公費で、それも高校入試で使うなんてありえません。ベネッセによる採点のどこに信憑性があるのでしょうか。いまからでも遅くないので、高校入試への導入はやめるべきです」

 

学力格差の拡大を招く

採点の公平性以外にも、大きな問題がある。それは英語教育の観点から見て、教育効果よりも弊害や危険性の方が大きいのではないかという点だ。

その一つが、学力格差の拡大だ。英語学者で和歌山大学教育学部教授の江利川春雄氏は、「スピーキングテストは生徒の個々の事情によって、不公平さを生みやすい」と指摘する。

「英語のスピーキングは、家庭の経済格差をもっとも反映しやすい技能です。読解問題を解く場合と違って、会話は相手がいないとできません。そのため、英会話の学校に通えるか、オンライン講習を受けられる生徒が圧倒的に有利です。試験を導入するだけでは、学力格差が広がるだけで、教育効果は期待できません。

それに、スピーキングテストはメンタル面の影響も受けやすい試験です。英語力があっても、例えば性格が引っ込み思案な生徒は不利になるかもしれません。吃音などの障害がある生徒には、どのようなフォローをするつもりなのでしょうか。

しかも、いまは新型コロナウイルスの影響で、家庭の経済力が深刻になっていると指摘されてもいます。拙速に導入すれば、生徒の学力格差が広がるだけです。考え直す時期にきていると思います」

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