特売セールに営業時間無制限…新型コロナで激変するイタリアの商店街

近くの陽性患者を知らせるアプリも
田島 麻美 プロフィール
 

例えば、ロックダウンでレストランの休業を余儀なくされた時、貧困層や高齢者のためにピザやビスケットを提供し、地元の病院の募金活動を始めたカゼルタのシェフ

ロックダウンの期間中、医療スタッフに無償でサービスを提供し続け、さらにローマからカラブリアまで1300kmかけて腫瘍検査が必要な3歳の少女を運んだローマのタクシー運転手。シュノーケリングマスクを改造し、3Dプリンターで呼吸マスクを開発したエンジニアと医師

ロックダウン期間中も毎日働き続けた上、救急隊員のために何枚も商品券を寄付したスーパーのレジ係の女性。マスク不足が深刻だった時、自ら調達した1200枚のマスクを赤十字社に寄付したレバノン人の男性、等々。

新たに「イタリア共和国の騎士」として勲章を受けた57名は、メディアのインタビューに際し、口を揃えてこんなコメントを寄せている。

「知らせを受けてびっくりしている。自分はできること、当然のことをしただけなのに」

再始動にあたって、ロックダウン中に大きな犠牲を払いながらも地域のため、人々のために尽力した一人ひとりの市民を称えることは、イタリア国民にとって勇気づけられる出来事だった。

医療従事者の家族への特別割引

一方、今なお病院で感染者の治療にあたっている医療従事者とその家族への民間支援も変わらずに続いている

イタリア市民保護局では新型コロナウイルスとの戦いで命を落とした医療関係者の遺族への義援金を募っているが、6月8日までに寄せられた寄付金の総額は953万9621ユーロ(約11億6400万円)。

これ以外にも地方自治体や赤十字、医療関係の団体、ボランティア団体など様々な団体に多額の義援金が集まっている。

さらに、大手スーパーや電化製品の量販店などが「医療従事者の家族への特別割引」を実施したり、義援金集めの活動をしたりといった動きも広がっている。

医療現場の最前線でウイルス感染患者の治療にあたり、自らも感染して命を落とした医師は、6月5日の時点で167名にも及んでいる。看護師やボランティアスタッフなども40名以上が犠牲となった。

今日現在も死亡者の数字は増えているが、犠牲者の家族や仲間が抱いている悲しみや苦しみの深さは、3万3900という数字だけを見ていては決して理解することはできない

犠牲者一人ひとりに、それぞれが全うした人生があったことを伝えるため、イタリアでは医療関係者はもちろん、ウイルスに感染して亡くなった一般市民も実名を公表し、新聞紙上などで一人一人のプロフィールや人生を紹介している。

イタリアのコロナ危機のシンボルともなった一枚の写真。この看護師の女性エレナ・パリオリーニさんも感染し、その後完治した。共和国功労勲章を受章した57名の一人(Photo ©Copyright ANSA)

営業時間無制限、大セールも始まった

イタリア国内の感染状況は現在も地域によって大きく異なるため、商店などの営業再開の条件やルールは州ごとに規定されることになった。

ローマでは、レストランやバール、小売店、美容院、美術館、スポーツジムなどの施設が既に営業を再開しているが、店内に客を入れる際には詳細なルールが設けられている。

先日、3ヵ月ぶりに行った美容院では、店頭で検温と所持品の消毒・密封保管をした上で、着けていたマスクを店で用意した医療用マスクと取り換えるという一連の準備を経てようやく店の中に入ることができた。

10人ほどの客が一度に入れるスペースがある店だが、実際に座れるのは半分以下。スタッフも半分の人数で対応しているため、営業時間を拡大して交代制で仕事をするようになった、と店主は言っていた。