出口治明が語る、日本がGAFAを生むために必要な3つのキーワード

「変態」「オタク」がGAFAをつくる
出口 治明 プロフィール

ユニコーンを生むキーワードとは?

グーグルは1998年の創業ですからまだわずか20年ちょっと、人間でいえば大学を卒
業する頃です。フェイスブックに至っては2004年の創業なので16年しか経っていない若い会社です。それにもかかわらずフェイスブックの時価総額はトヨタの2倍もあるのです。

ユニコーン企業とは未上場で評価額が10億ドル以上のベンチャー企業を指します世界のどこにユニコーンが生息しているかというと、2019年7月末時点で、世界計3
80社のうち、アメリカが200社弱、中国が100社弱と全体の8割を占め、日本はわずか
3社にすぎません
(日本経済新聞)。

問題の核心がここにあります。

 

戦後の日本の高度成長は製造業が牽引しました。ところがいまや製造業がGDPに占め
る割合はおよそ20%です。雇用に占める製造業の割合に至っては20%を切り、17 %(2018年度平均 総務省「労働力調査」)に過ぎません。

もはや製造業には日本全体を引っ張る力のないことは明らかです。

日本経済の低迷は、新たな産業社会の牽引役になれるユニコーンがなかなか生まれないところに根本的な原因があります。学者によれば、ユニコーンを生むキーワードは、女性・ダイバーシティ・高学歴の3つだそうです

日本経済を支えた製造業中心の時代は終わった(photo by gettyimages)

女性の社会的地位は153ヵ国中121位

まず女性ですが、現在の世界はサービス産業が引っ張る方向に向かっています。そしてサービス産業のユーザーは世界的に見ると女性が6〜7割と大勢を占めています。つまり需給ギャップが大きくなっている。

このギャップを埋めるためにヨーロッパではクオータ制が行われているのです。ところがわが国の女性の社会的地位は153ヵ国中121位(世界経済フォーラム)というひどさ。これでは女性の望む新しいサービスのアイデアが生まれるはずもありません。

ダイバーシティについては、ラグビーワールドカップにおける日本チームの活躍振りを見れば誰しも理解できるのではないでしょうか。日本人だけで戦ってベスト8に入れたか。混ぜることでチームは強くなる、まさにOne Team です。

ビジネスの世界も同じです。日本の企業は極論すれば日本人の男性だけでワールドカップを戦っているのです。これでは地位が下がるのもなるほどとうなずけます。

多用な選手が集まったラグビー日本代表(photo by gettyimages)

高学歴についてですが、製造業とユニコーン企業を比べると、製造業で働く人は比較的低学歴で(世界の製造業の従業員の中に占める大卒以上の高学歴者は約4割)、ユニコーンは多国籍、高学歴という点に大きな違いがあります。

日本の大学進学率は53%前後でOECD(経済協力開発機構)平均より7ポイント程度低
い。つまり、日本は先進国のなかでは大学進学率の低い国なのです。

成績・学業軽視というナンセンス

そして大学に進学しても、学生があまり勉強をしない。これは学生ではなく企業側に責任があります。新卒採用面接で「アルバイトやクラブ活動でリーダーシップをとった経験は?」などという質問をしている限り、誰が勉強するでしょうか。

内定を出した後にはじめて「成績表を送ってください」といわれる現状では、学生は必死になって勉強して良い成績を取ろうとは思わないでしょう。つまり、日本では採用基準に成績が入っていないのです。

グローバル企業はこうした成績軽視の在り方とは真逆です。グローバル企業はたとえハーバード大学の学生でも、成績が真ん中より下だったら見向きもしません。

理由は簡単で、ハーバード大学の学生だから地頭はいいかもわからない。しかし成績が真ん中以下ということは、大学時代を勉強の手を抜いて過ごした人間である。こういう人を採用しても、上司に上手にゴマをすって仕事も手を抜くに決まっているから採用しても仕方がない、そう考えます。

一方でどこの大学出身であろうと成績が全優の学生は喜んで採用します。自分で選んだ大学で優れた成績を収めた人は、自分が選んだ職場でも優れたパフォーマンスを発揮する蓋然性が非常に高いと考えるからです。

大学院生を積極的に採用しないのも一般的な日本企業の傾向です。「なまじ勉強した奴は使いにくい」というのがその理由ですが、そんな馬鹿な話はありません。

大学院で自分の興味があるテーマを深く掘り下げてしっかり学んだ経験のある人のほうが、仕事でも面白いアイデアを出すに決まっています。