「次亜塩素酸水は学校で噴霧しないでください」と文部科学省が書面を送っている次亜塩素酸水騒動。別の記事では巷にあふれている次亜塩素水と政府の消毒に関して情報の整理不足感を指摘し、話題の「次亜塩素酸」の基本情報についてまとめた。しかし、調べるほどに、なんだかよくわからなくなる「次亜塩素酸水」……。そこでこの記事では、有効性ふくめて、消毒についてどう考えるべきかを理科の視点で検証する。高校化学教科書なども手がけ、『もっと身近にあふれる「科学」が3時間でわかる本』などの著書がある理科教育(科学教育)、科学リテラシーの育成を専門家の左巻健男氏に話を伺った。

次亜塩素酸の有効性や消毒としての使用について、詳しく教えてもらおう。

経産省は、成分、製造法、製造日など
曖昧な商品も多いと指摘

『学校で噴霧はしないで』文科省も発表した『次亜塩素酸水』問題点とその正体」という記事で「次亜塩素酸水」の基準が曖昧であることに少し触れた。

「消毒に使用する薬品の場合、有効性を示すものとしてよく使われるのは、“有効塩素”です。有効塩素が高ければ、酸化力も高いということになるので、殺菌力も高いという指標になります。理科的に考えれば、次亜塩素酸水も次亜塩素酸ナトリウムも殺菌力は高いということになります。

でも、これは物質としての話。現在流通している製品にどこまで効力があるかは、別の評価。問題なのは、次亜塩素酸水と謳っているものの中に、どうやって作られたのか、何が入っているのか、表記が曖昧なものが多いと指摘されている点です」(左巻氏)

どの程度の濃度でどの程度安全なのかがわかっていない状態で肺にはいるように噴霧してしまったら…Photo by iStock

ひとつめの記事でも触れたが、新型コロナウイルスでの消毒剤の有効性評価を調査担当している独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は6月5日、経済産業省が作成した『「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート)』(随時更新)を紹介している。

一言で説明すると、「次亜塩素酸水」と言ってもいろんな商品がありすぎるので、有効性検証のために、とりあえず、大きく2種類にカテゴライズしたという。それが、下記の2種だ。

・「電解次亜塩素酸水」――食塩(塩素)と水などで電気分解して生成されたもの。
・「非電解型次亜塩素酸水」――次亜塩素酸ナトリウムと酸のニ液を混合させたもの、炭酸ガスの付加したもの、イオン交換樹脂による化学反応させたもの、粉末を水に溶かしたものなど。

ところが、2種に分けたものの、電気分解したものなのか、そうでないものかのか明記してないものも多く、有効成分やどうやって次亜塩素酸水が出来たのか反応式も示してないもの多いと指摘している。さらに、肝心な次亜塩素酸濃度を示してないもの、希釈している製品は、どうやって希釈したのかも書いてないものもあるという……。

成分濃度や原材料が記載されていないことがあるなど、成分表をどう見ればいいかがよくわかる 経済産業省作成「「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート) 」より

こちらも、あれもないこれもないなんて言いたくないのだが、製造日や使用可能期間など基本的な情報すら明記していないものが多いとなると、残念だが、製品としての信頼性は考えてしまうところはある。今回の有効性の評価にこんなにも時間がかかるのはおかしいというコメントをSNSで見かけるが、きちんと表記されないものが多ければ、有効性の評価はかなりしにくいのと思うのだ。

しかし、「長年使っていて有害という評価はない」「食品添加物として国で認めている」「次亜塩素酸ナトリウムのほうが危険」というネットにはこういった書き込みがいまだ続いている。