「次亜塩素酸ナトリウム」と
「次亜塩素酸水」はどう違うの?

今回、どっちが優れている論争になっている「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」だが、違いはなんなのだろう?

「次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸(弱い酸)と水酸化ナトリウム(強いアルカリ)の中和でできるもので、次亜塩素酸水よりも安定です。水溶液はアルカリ性を示します。

対して食塩と水(あるいは塩酸)を電気分解してつくった次亜塩素酸水は、強酸性、弱酸性、微酸性のものがあり、酸性を示します。

次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素水よりも安定性があるのでボトルに入れての長期保存が可能で、さまざまなメーカーが消毒液や漂白剤などとして販売しているわけです。厳密には差があるかないかは、独立行政法人製品評価技術基盤機構NITEの検証結果を待ってからですが、同じ作用があり、安定性が高い次亜塩素酸ナトリウムがあるのであれば、無理をして別のものを使わなくてもいいのに、とは正直思っています」(左巻氏)

え? 同じ作用なの? 前に紹介したエステサロンのように次亜塩素酸水のほうがケミカルでなくナチュラルだ、と主張しているところもあるが……。

次亜塩素酸水は食塩と水(あるいは塩酸)しか使用していないのでケミカルでないという人がいますが、原料もできたものも化学物質です(笑)。水だって食塩だって化学物質です。正しく適切に使えば安全なのでそれをむやみに怖がることもおかしいですし、“化学物質ではない”という誤報によって、次亜塩素酸水を飲んでしまう人が出てしまうかもしれません。表現には注意することが必要ですね」(左巻氏)

今回の噴霧問題が広まった背景には、この「化学物質でない」誤報も関わっていると思われる。さらに、左巻氏は続ける。

「しかも、市場で出回っている“次亜塩素酸水”は、先ほどお話した食塩と水(あるいは塩酸)を電気分解してつくった次亜塩素酸水であるとは限りません。基準が不確かなので、何を目安に“次亜塩素酸水”と呼んでいるのかがよくわからない。科学的に同じ作用があったとしても、流通している製品にその作用があるかは別の話になります」(左巻氏)

どれだけ有効塩素が残っているかわからないが、化学物質でないから大丈夫という安易な使用は危険 photo/iStock