塩素系漂白剤は、なぜ消毒に使えるのか?

先にも書いたが、政府は新型コロナウイルスの感染が確認された当初から、感染予防対策として、「次亜塩素酸ナトリウム」を使用した食器、手すり、ドアノブなどの消毒として、早くから推奨している。

消毒の歴史を紐解くと、1774年に、スウェーデンのカール・ヴィルヘルム・シェーレが塩素を発見し、そこから消毒の歴史は大きく変わったといわれている。しかし、なかなか一般実用されず、1850年代に、微生物に対しての殺菌力が認められ、ようやく1886年に米国公衆衛生協会が、殺菌剤として「次亜塩素酸ナトリウム」を使うことを発表している。日本では、戦後の1953年に法定代用消毒薬に指定されている。思った以上に長い歴史を持つ消毒剤なのだ。

「“次亜塩素酸ナトリウム”に殺菌効果があるのは、その水溶液中に“有効塩素”と呼ぶ成分が含まれているからです。場合によっては”残留塩素”ともいいます。その実体は水中にある”次亜塩素酸”あるいは”次亜塩素酸イオン”です。

今回話題になっている”次亜塩素酸水”の殺菌効果の成分も次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素と同じです。

有効塩素は、他の物質と出会うと反応し、形を変えてしまいます。例えば、ウイルスと出会うとウイルスの持つ物質と反応、サビなどと出会えばそれと反応、ニオイの物質とも反応します。そして、反応する相手の物質を変化させるので、ウイルスは失活(死滅)し、ニオイなどの対策にも使用されてきたわけです。漂白用洗剤として活用されているのもそんな力の効果です。

そして、有効塩素の濃度は、時間とともに徐々に低下していきます。とくに次亜塩素酸水は、非常に不安定な物質で、水中の次亜塩素酸は分解されやすく、最後には薄い塩酸と酸素ガスになり、酸素ガスが出ていってしまいます。分解されれば有効塩素は減ってしまいます」(左巻氏)

ドラッグストアでも安価に手に入る漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウムが主原料だ。photo/iStock