浅草の仲見世商店街も一時は軒並み閉店に(photo by iStock)

日本で新型コロナ死者数が少ないのは、PCR検査能力が低かったから

現実となった『首都感染』最終回
日本で死者数が少なかったのは、PCR検査能力が低かったからでもある。そして「東京一極集中」には問題があり、都道府県の姿を見直すべき時期に来ていることもコロナ禍で思い知らされた――10年前に書かれた「予言の書」として読まれる『首都感染』の著者・高嶋哲夫氏が、「新型コロナと日本人」について書きおろすドキュメント連載、ついに最終回!

第1回:10年前の予言書『首都感染』著者が振り返る「新型コロナ騒動」前夜

自粛から経済へ

ゴールデンウィークの間、日本中の繁華街、観光地から人が消えた。主要駅、新幹線のホームにも人影はほとんどなかった。人との接触8割減は、ほぼ達成できた。

実は地方の町はそうでもなかったと聞いている。店は開いていたし、普段ほどではないが人通りもあった。マスコミ報道は、大都市と観光地がほとんどだったと言うことか。しかし、三密を避けようという意識だけは日本中で共有できた。

 

連休が終わってからは、マスコミの関心は経済に移った。連日、自粛により店を閉めたり、時短営業をする経営者の嘆き、失業者の増大が放送された。

浅草の仲見商店街も軒並み閉店状態に(photo by iStock)

新型コロナウイルスでの死者数と、経済悪化による死者数の比較もあった。近年、年間の自殺者は約2万人。その中で、経済・生活の問題で自殺するのは約16%だ。

5月14日、安倍総理は、「関東の1都3県、関西の2府1県、北海道を除く39県について、緊急事態宣言を解除する」と告げた。

21日、総理は関西の2府1県に対して、解除声明を出した。

25日、残りの5都道府県に対して、「緊急事態宣言」を解除した。

政府は31日まで続けるつもりだったが、大阪、東京の要求を呑む形となったのは免れない。特に、大阪の「出口」「入口」を数値的に明示した説明には、国が追従した形となった。

自粛から経済へ。日本の動向は急激に変わり、「ウイズ・コロナ」と言われる、新しい段階に入った。

この時点での日本での感染者約1万4000人、死者830人。世界の感染者約535万6000人。死者約34万4000人だ。

政府は、自粛に対する補償の形で様々な補助金を用意した。

日本に暮らすすべての人に一人当たり10万円の給付に加え、持続化給付金、休業協力金、雇用調整助成金などだ。しかし、200兆円を超える補助金を用意しても、十分ではないと言われている。今回の経済的落ち込みは回復に長時間かかり、多くの倒産企業が出ると言う声が強い。

なぜ死者数が少ない?

政府が取ってきた新型コロナウイルス対策に、多くの国民とマスコミの論調はかなり否定的だ。

世界の多くの国でも、クルーズ船に始まる、日本の新型コロナウイルスに対する初動の悪さを非難した。しかし、以後の感染者、死者の数の少なさには、「不可解」「日本の奇跡」と、驚きをもって見ている。WHOの事務局長も、日本の現状を「成功」と評価した。

マスクの習慣、握手やハグは少なく、大声を出さない。家では靴を脱ぐ、と言った生活習慣。幼児期のBCG接種など、色々推測されている。

日本7人、中国3人、韓国5人、インド4人。アメリカ327人、イギリス580人、フランス443人、ドイツ104人。これは100万人当たりの死者数だ。

アジアは欧米に比べ、極端に少ない。この違いは、生活習慣だけでは結論付けられない、人種的なものか、地域的なものか。つまり、「交差免疫説」も有力だ。

アジアでは、かつてMARS、SARS、新型インフルエンザなどが流行した。だが、いつの間にか消えてしまった。そのため今回の新型コロナウイルスに対する免疫も、ある程度出来ている可能性があると言う説だ。

ウイルスそのものを調べれば、早めに決着がつく可能性がある。