2020.06.09
# 北朝鮮

「新型コロナ鎖国」の北朝鮮が密かに進める新外貨獲得戦略とは

白頭山を「世界ジオパーク」登録申請中
伊藤 孝司 プロフィール

11日の朝、雷を伴った大雨が降る。部屋の窓から外を見ていて、人々がホテル前の道路を横断しているのに気がついた。いつもと違う。何かおかしい!

ホテルの前には地下通路があり、本来ならそれを使わないと警察官に厳しく注意されるのだ。にもかかわらず地上を横断している。聞けば、どうも、地下通路が雨で水没しているようだ。

大雨で堤防から溢れ出そうな大同江(2007年8月撮影)

この高級ホテルのロビーは雨漏りしていて、床にいくつもの容器が置かれている。心配なのは、地方都市との電話連絡が出来なくなっていることだ。

そうした状況の中で、関野さんとカメラマンを出迎えに平壌空港へ行く。二人は無事に到着。ところが空港から市内へ向かう車の中で、とんでもないことが判明した。

「取り外していたクランク軸を持って来るのを忘れた・・・」

関野さんが、つぶやくような声でそう言うのだ。クランク軸がなければ自転車は動かない。すでに午後6時半なので、自転車販売店は閉まっている。

強風の白頭山をスタート

翌朝、憂鬱な気分で雨の中を平壌空港へ向かう。自転車は、平壌で購入した1台だけを持って行く。意気込んで準備してきたので、残念な気持ちでいっぱいになる。

三池淵空港まで乗った「アントノフ24」(2007年8月撮影)
 

朝鮮半島縦断の旅のスタート地点とした白頭山へ行くために、平壌から三池淵空港まで「高麗航空」の小型機をチャーターした。もっとも安い10人乗りを予約したのだが、空港に用意されていたのは40人乗りの「アントノフ24」だった。この旧ソ連製のプロペラ機は、初飛行が1959年と古い。

航空会社が、燃料費が増えるにもかかわらず大きな機体へと変更したのには大きな理由があった。「天候が悪いからです」。そう聞かされて、一気に不安になる。

雨の中を機体は動き出す。空港ターミナルから滑走路へ行くまでの誘導路は、雨水で完全に水没していた。少なくとも30センチは溜まっている。窓からは、車輪が巻き上げる大きな水しぶきが見える。まるで「水上飛行機」である。

関野さんやカメラマンは押し黙っている。「未知の国」での旅のスタートがこの飛行なのである。三池淵空港へ無事に離陸すると、機内には安堵感が漂った。

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