2020.06.09
# 北朝鮮

「新型コロナ鎖国」の北朝鮮が密かに進める新外貨獲得戦略とは

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伊藤 孝司 プロフィール

次々と待ち構えるトラブル

6月23日、私は一人で訪朝し、「対文協」のスタッフに、内容を絞り込んだ新たなプランについて時間をかけて説明した。そしてこの国でもっとも格式の高い「高麗(コリョ)ホテル」内のレストランの個室で、日本局長と会食。公式の場では朝鮮語しか使わない局長は、私に流暢な日本語で「前向きに検討しましょう」と語った。

これでほぼ大丈夫だろうと判断し、私は帰国便に乗った。

帰国後、しばらくして「許可する」との連絡が届く。北朝鮮取材は、許可さえ得られれば三分の一は終わったようなものだ。

抗日闘争時代の姿の金日成像(2017年8月撮影)
 

そして8月8日、一足先に私だけが平壌へ行く。宿泊するホテルは、日本との連絡が取りやすい「高麗ホテル」にした。このロケではトラブルが多いのでは、と思ったからだ。そのように覚悟はしていたが、問題はすぐに起きた。

着いた翌日、日本の制作プロダクションから連絡が入る。関野さんらが、日本からの経由地の中国・瀋陽から平壌まで搭乗する予定の「高麗(コリョ)航空」が、自転車は120センチ以下に梱包したものしか積んでくれないというのだ。

私から、日本にある「高麗航空」の代理店へ電話をする。だが同じ返事なのだ。こうなればまた直談判である。ホテルからも近い「高麗航空」本社へすぐに向かう。結論はその場で出た。

「例外として許可しましょう」

よほど特別なことでなければ、北朝鮮でも、相手と会って話をすれば何とかなるものだ。

この結果を伝えるために日本へ電話すると、今度は別の問題が起きていた。

「自転車1台は平壌で調達して欲しい・・・」

関野さんの旅は、その国の青年と一緒に旅をすることになっている。そのため、2台の自転車を日本から運ぶことになっていたのだが・・・。

開城の関野さんと朝鮮人青年(2007年8月撮影)
 

「百貨店ならばあるだろう」と思ってタクシーで何ヵ所かを見に行くが、どこにも置いていない。「看板に自転車を描いた店をどこかで見たような気がする」と「対文協」の案内人が言う。そのあいまいな記憶を頼りに探しに行くと、マウンテンバイクの絵を掲げた立派な店舗を見つけたのである。それは、北朝鮮で自転車生産をしている中国との合弁企業の店舗だった。

広々としたきれいなショールームには、さまざまな種類の自転車が並んでいた。私が感心したのは、150キログラムもの荷物を積むことが可能な、とんでもなくがっちりした自転車。日本で走ったら、話題になるのは間違いない。北朝鮮では、こうしたものが活躍するのだろう。

一般的な自転車の価格は、日本円に換算すると約8400円。今回の走行のために、マウンテンバイクを約1万2000円で購入した。

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