2020.06.09
# 北朝鮮

「新型コロナ鎖国」の北朝鮮が密かに進める新外貨獲得戦略とは

白頭山を「世界ジオパーク」登録申請中
伊藤 孝司 プロフィール

白頭山での貴重な体験

私が白頭山を訪れたのは2002年から2017年までに計4回。山頂からの天池の雄大な光景だけでなく、針葉樹がどこまでも続く原生林や高山植物が一面に咲き乱れる麓の光景にも魅せられた。

高山植物のお花畑(2002年8月撮影)

また、白頭山ではさまざまな体験をすることにもなった。

2012年4月、金日成生誕100年の記念行事を白頭山でも取材した。この時は4月中旬にもかかわらず吹雪になり、バスはスリップして動かなくなった。結局、白頭山の山頂へ行くことはできず、外国人などの多数の参加者は凍えながら雪道を何時間も歩くことになった。

雪道を歩く記念行事の参加者たち(2012年4月撮影)
 

私にはまた、白頭山にまつわる忘れられない貴重な体験がある。

白頭山から韓国の釜山(プサン)まで、朝鮮半島を縦断した日本人探検家がいる。関野吉晴さんは、人類発祥の地であるアフリカのタンザニアをめざし、南米・チリの南端から旅に出た。「グレートジャーニー」と名付けられたその冒険は、1993年から2002年までかけて約5万キロメートルを徒歩・自転車・カヤックなどの人力で行なわれた。

関野さんは次の挑戦として、日本へ人類が渡ってきた三つのルートをたどる旅を開始。その一つの「中央ルート」は、ヒマラヤからインドシナ半島を経て中国へ入り、朝鮮半島を通って対馬を目指すというものだ。

朝鮮半島縦断の可否は、北朝鮮を旅する許可を得ることが出来るかどうかにかかっていた。「グレートジャーニー」のテレビ番組を制作してきたプロダクションは、それまでイランといった許可が容易には出ない国での撮影も実現させてきた。ところが北朝鮮については、いくつかのルートで交渉をしたものの成功しなかった。日朝関係悪化の中で、北朝鮮のどの機関もこの難しい企画を引き受けようとしなかったのだ。

2007年1月になり、その制作プロダクションは私に北朝鮮との交渉を依頼してきた。それだけでなく、北朝鮮の北端から韓国の南端までの旅のコーディネートをして欲しいという。私は、それまでの北朝鮮取材での経験を踏まえてプランを作成。それを、北朝鮮における日本メディアなどの受け入れ機関「対文協(朝鮮対外文化連絡協会)」へ送った。

ところが「実現は不可能」とあっさりと断られたのだ。関野さんの都合から、撮影は遅くとも8月には実施する必要がある。こうなれば、交渉のために訪朝して直談判するしかない。

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