「新型コロナ鎖国」の北朝鮮が密かに進める新外貨獲得戦略とは

白頭山を「世界ジオパーク」登録申請中

「世界ジオパーク」登録を目指し

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が白頭山(ペクトゥサン)地域を「世界ジオパーク」に登録するために、ユネスコ(国連教育科学文化機関)に積極的に働きかけていることを「朝鮮中央通信」(5月31日)が報じた。

「朝鮮ユネスコ民族委員会は、チュチェ107(2018)年に白頭山地域を朝鮮初の世界地質公園に登録することを決定し、ユネスコの手順規定に従って推薦意向書を提出したのに続いて、昨年には申請文書を提出した」

白頭山のカルデラ湖・天池(2002年8月撮影)

ここで述べられている「世界地質公園」とは「世界ジオパーク」のことだ。それについて文部科学省ウェブサイトに次のような説明がある。

「地層、岩石、地形、火山、断層など、地質学的な遺産を保護し、研究に活用するとともに、自然と人間とのかかわりを理解する場所として整備し、科学教育や防災教育の場とするほか、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的とした事業」

北朝鮮が「ジオパーク」登録を申請したのは今回が初めて。ただ白頭山は1989年に、ユネスコの「エコパーク(生物圏保存地域)」に登録されている。

「ジオパーク」と「エコパーク」は、どちらも自然環境の保全と地域の持続可能な発展の両立を目指す国際的な枠組みで、主な対象が前者は地層・地形など地球の活動にかかわる地学的な遺産であるのに対し、後者は生態系の遺産という違いがある。

「世界遺産」は2件が登録済み

ユネスコの「ジオパーク」や「エコパーク」と性格を異にしているのが「世界遺産」である。こちらは世界で唯一の価値を持つ文化財・景観・自然などを後世に残すための制度で、登録にはハードルが高い。北朝鮮は、白頭山や金剛山(クムガンサン)の登録も望んでいた。

「江西大墓」に描かれた玄武(2014年10月撮影)

すでに北朝鮮で「世界文化遺産」登録を受けているのは「高句麗(コグリョ)古墳群」(2004年指定)と「開城(ケソン)の歴史的建造物と遺跡」(2013年指定)の2件。

日本画家の平山郁夫さんは、ユネスコ親善大使に就任したことを契機に、私財までつぎ込んで「高句麗古墳群」の「世界遺産」登録に奔走した。

登録された王などの墳墓63基の多くに、高句麗時代の文化や風俗を描いた壁画がある。「江西(カンソ)大墓」などの壁画には、日本の高松塚古墳壁画と大きな共通性がある。私も、狭い玄室に入って鮮明で色彩豊かな壁画を見た時には思わず驚嘆の声を上げた。

開城の世界遺産「恭愍(コンミン)王陵」(2013年6月撮影)
 

平山さんは2009年に亡くなったが、生前の活動が「開城の歴史的建造物と遺跡」の「世界文化遺産」登録へとつながった。高麗時代の政治や文化を伝える12件の建造物や墳墓などが登録されている。