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# アメリカ # トランプ

黒人男性殺害デモのウラで、トランプ大統領が起こした「最悪の失態」

崩壊の危機に追い込まれる民主主義

「人種差別」が問題のすべてではない

物言えば唇寒しーー。

5月25日に米中西部のミネソタ州で白人警察官(当時、44歳。後に解雇。第2級殺人容疑で逮捕、訴追)が拘束した黒人男性(46歳)の首を膝で地面に押し付けて死亡させた事件への抗議活動は、一向に終息する気配がない。

2度目となった先週末も、米国のみならず世界各地で活発な抗議デモが繰り広げられ、カナダではトルドー首相が首都オタワで行われた抗議デモにマスク姿で参加して、地面に片膝をつく抗議活動の象徴的なポーズで黙とうをささげた。

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この痛ましい事件の根底にあるのは人種差別問題だ。だが、人種差別が問題のすべてではない。

かねて指摘されてきた社会の2極化問題が影を落とすほか、18世紀の産業革命以来、われわれの社会の基本的価値だった資本主義や自由主義、民主主義といった思想・哲学を崩壊させかねない問題も起きている。ネット社会ならではのフェイクニュースと世論操作の問題もあれば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが引き起こした失業の急増が追い打ちをかけた側面も見逃せない。

そうした中で、自身の大統領選挙での支持基盤固めに役立てたいのだろう。そうでない市民たちの抗議活動の火に油を注ぎ、自身が抗議対象になる“失策”を厭わないのが、米国の「お騒がせ大統領」ドナルド・トランプ氏だ。死者を悼む言葉や白人警察官の責任を追及する発言を忌避する一方で、抗議運動参加者を「悪者」呼ばわりする発言を繰り返して、反トランプムードを煽っている。

米CNNニュースが直近の5つの世論調査を分析したところ、民主党の候補指名を確実にしているバイデン前副大統領が支持率51%(5月17日~6月3日の平均)で41%(同)のトランプ氏をリードした。盤石の支持層を誇ることから依然として確実と見られているとはいえ、トランプ大統領の再選シナリオにも異変が生じた格好なのだ。

今週は、トランプ問題も含めて、黒人男性死亡事件が浮き彫りにした様々な問題を整理しておきたい。