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止まらぬ全米抗議デモ、その裏でうごめく「白人ナショナリスト」の影

アメリカに走る巨大な亀裂

米国の威信を貶める事態

米中西部ミネソタ州で黒人男性が白人警察官に首を押さえつけられて死亡した事件への抗議デモや暴動。その衝撃的な様子は連日、日本でも報道されている。

米国は新型コロナウイルスの感染者や死者も多く、格差問題や医療保険制度の不備が浮き彫りになると同時に、ロックダウン解除を求めるデモなど政治対立も深まった。そこに今回の人種問題である。まるで1918年(スペイン風邪の大流行)、1929年(世界大恐慌)、そして1968年(キング牧師の暗殺など公民権運動時代の悲劇)の3つが同時に起きたかのようだ。

加えて、コロナ禍によって米中間の「新冷戦」も激化している。これからの国際社会を牽引するのは米国モデルか、中国モデルか。本来であれば、米国モデルの優位性や有用性を世界にアピールしなければいけない時期のはずだが、今回の人種問題は米国モデルの威信をさらに貶める格好になっている

トランプ大統領は暴動弾圧のために軍隊(連邦軍)を出動させる可能性すらちらつかせたが、そうした事態は中国が最も強く望んでいることかもしれない。天安門事件や香港情勢などをめぐり、米国が中国政府の強硬姿勢を批判しにくくなるからだ。

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今回のミネソタ州での事件は現場の一部始終がスマートフォンで撮影され、インターネット上で瞬時に拡散したことから一気にデモが組織され、全米に広がった。しかし、警察が黒人に差別的な対応をとるケースそのものは何ら珍しくない(当然ながら、だからと言って問題がないということではない)。

よほど深刻なケースでなければ地方紙にも掲載されないほどで、黒人であるというだけで職質されるケースは日常茶飯事だ。警察は路上で不審者を呼び止め、身体検査を行い、場合によっては手錠をかけることさえできる。全米で呼び止められる人の9割は黒人かヒスパニック系との報告もある。