韓国の人々は「自国のコロナ対策」をどう見たか〜それは誇りか、危機感か

金杭 × 平野啓一郎
現代ビジネス編集部

平野 文在寅大統領が表に出てこず、対策が(賛成と反対が入り乱れ、権力闘争に利用されるといった意味での)「政治化」していない点において、国民は文在寅を評価しているということでしょうか。

 そうです。要するに、(事態を過剰に政治化させることなく)「仕事をしている」ということなんです。国家として、政府として「機能」している。これが、総選挙で与党が圧勝し、大統領の支持率が上がっている要因だと思います。大統領府の立ち回りは、この点においては、僕も非常に評価できると思う。

 

「異論の少なさ」への不安

平野 今後、コロナウイルスとともに生きていかなければならないとなると、経済活動や社会活動との関係が重要になってきます。そうなると、疾病対策の専門家だけではなく、経済との兼ね合いを考える専門家の存在も重要になる。より政治的なイニシアチブも求められるようになります。韓国の管理本部には、経済の専門家など、疾病対策以外の専門家も総合的に関わっているのでしょうか。

 現段階では、基本的には医療の専門家です。ただ、平野さんがおっしゃったように、管理本部が現状のように対策しているだけではウィズコロナの時代には対応できないと思う。

いま韓国では、「災難基本支援」という政策が進んでいます。4人家族基準で国家が約10万円を一律に支援するというもの。先週から給付が始まっている。これについてはずいぶん議論がありました。所得の下位70%に支援するのか、100%に支援するのかといった論点です。これは代表的な「政治的な議論」ですね。こういう社会活動に関わる政策の場合には、政治的な必要になりやすいと思います。

ただ、総選挙であれだけ与党が圧勝してしまうと、政府は現状の路線で進むしかない。今の韓国では、(本来、異論や対立をはらみうる)政治的な議論も、政府主導で対策を行うという方向にすんなり向かってしまう流れになってしまいます。

しかしこうなってくると、懸念がないわけでもない。実際に、政府が、異論が少ない状況で対策を主導する方向にストレートに行ってしまうことについては「これはどうなの?」という反応が出てきている。「大統領府と管理本部が協力してうまく対策をしていきますよ」という議論になっていますが、そのスムーズさはやはりまずいと思う。

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