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韓国の人々は「自国のコロナ対策」をどう見たか〜それは誇りか、危機感か

金杭 × 平野啓一郎

新型コロナウイルスの対策がきわめてうまくいった国として世界から注目を集めている韓国。対策に奔走した文在寅大統領への信頼が高まっているが、一方で国内には「手放しでは賞賛できない」という声もあるという。実際のところ、韓国の人々は自国のコロナ対策をどのように捉えているのか。また、コロナ禍を経て国内のムードはどう変化しているのか。

5月16日、韓国の若手言論人である延世(ヨンセ)大学教授の金杭(キム・ハン)氏と小説家の平野啓一郎氏が対談を行った。韓国の新型コロナウイルス対策を皮切りに、話題は主権や自由、国民国家にまで及び、白熱した対話は2時間を超えた。

以下ではその対話のなかから、韓国市民のコロナ対策への評価や韓国社会の雰囲気の変化についてのパートをダイジェストでご紹介する。2時間を超えた対談のため、全文掲載とはいかないが、一部抜粋でも有意義な対談であったことは感じ取っていただけるだろう。

対談はオンラインで行われた(左が金氏、右が平野氏)。

*今回の対談を始め平野氏が参加するイベントは、こちらのメールレターに登録すると情報を知ることができます。

 

「プライバシー侵害」が甘受された理由

平野 韓国ではコロナウイルス対策はどう受け止められているのでしょうか。

 まず前提として、このウイルスへの対応の巧拙を測る基準、判断する基準がまだ共有されていないことを確認しておきたいと思います。今の状況でマズいのは、どこの国がうまくいった、うまくいっていないという判断のフレーム、国ごとに競争をさせるようなフレームが先行してしまうこと。そうしたフレームの外でお話を聞いていただけるとうれしいです。

さて現状から確認すると、韓国の感染拡大は5月の初旬にはいったん収束していました。しかし5月下旬、ソウルの梨泰院――日本で言うと六本木のような場所ですね――のクラブで集団的な感染が発生しました。若者を中心に160人が感染したとされています。