習近平の大誤算…いよいよ香港から「人」も「カネ」も大脱出が始まった!

中国経済の「致命傷」になる可能性も…
福島 香織 プロフィール

「無法の国」だから

海南島の昨年の総生産は5300億元あまり。全国のGDPのわずか0.5%。面積も一人当たりの所得も明らかに国内平均よりずっと低い。むしろ南シナ海を意識した原潜用の軍港があるとか軍事海洋戦略上の要衝地という意識の方がつよかった土地だ。そんな、ある意味“ど田舎”を、香港を超える国際金融センター、フリーポートに作り上げようというのだから、中国内外で熱い議論を呼んでいる。

だが、在米の経済学者の秦偉平氏は「海南は国際金融センターにとって二つの必要条件が欠落している。たぶん無理だ」とラジオフリーアジア(RFA)に冷ややかにコメントしている。二つの条件とは「自由市場の環境と公正独立の司法システム。これがなければ、新しい国際金融センターにはなりえない」。

もっとも、中国に、本当の意味での自由市場環境と公正独立な法治を容認できる度量があれば、香港をつぶす必要もなかった。中国政府が一国二制度の解釈を勝手にかえて香港に対し国安法を強制的に導入したのは、中国が無法の国だと世界に公言したのと同じだ。一度こういうことをやると、いつ何時、中国の都合の良いように法解釈を変えるかもしれない、と不安でしかたがない。そんな国のフリーポート、金融センターを外資が信用できるか。

 

2013年、中国は上海に全国最初の自由貿易区を設立し、続いて各地に自由貿易区ができて、いまやその数は18か所。沿海省にはだいたい設置されている。上海自由貿易区は、もともと金融開放政策のテストケースとして計画された。人民元の自由兌換、外資独資の金融機関、銀行の設立許可、1元ワンコイン企業の設立といった、中国初の試みをがんがんやる、という触れ込みだった。

だが、オーストラリア・メルボルンのモナーシュ大学商学院の史鶴凌教授がメディアに語ったところでは、こうした上海自由貿易区で予定されていた金融開放政策はいまのところほとんど実現していないという。