6月11日 傘の日

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

今日、6月11日は、暦の上では雑節の一つである「入梅」にあたります。このことから、6月11日は日本洋傘振興協議会によって「傘の日」として定められています。

「入梅」とは日本で梅雨の時期に入るとされる日のことをいった雑節のことで、「太陽の黄経が80°に達した日」と決まっています。黄経は太陽系の位置を表す基準の一つで、黄緯とともに「黄道座標系」として機能しています。

黄経は、春分の時0°、夏至で90°、秋分で180°、冬至で270°になる Photo by 国立天文台暦計算室

黄経は春分点、つまり春分における地球から見た太陽の位置を基準としており、黄経80°とは春分と比べて太陽が80°だけ東に見えるようになったことを言います。そのような条件を満たす日が、日本では6月11日だというわけです。昔から日本では、入梅を基準として農家の方々などが梅雨対策を始めました。

さて、梅雨の時期に必須アイテムとなる傘ですが、その歴史は非常に長く、古代エジプトやギリシャの絵画や彫刻にも日傘が見られます。その頃は王族のみが所持するアイテムだったようです。

 

中世以降にはヨーロッパの市民も多く用いるようになりましたが、その用途は日傘、あるいはアパートの住民が窓から捨てるゴミからの防御でした。ヨーロッパに雨傘を広めたのは、ペルシアを旅して雨傘としての使い方に気づいた一人のイギリス人です。ジョナス・ハンウェイ(Jonas Hanway、1712-1786)というその男性が周りから笑われながらも雨の日に傘をさしたことで、新しい傘の用途が広まったのです。

それ以降、古代からほとんど変化がなかった傘に次々と革命的アイデアが取り入れられます。まず、1928年に傘のブランド「クニルプス(Knirps)」の創始者であるドイツのハンス・ハウプト(Hans Haupt、1898-1954)が、折り畳み傘を発明します。

ハウプトが折り畳み傘を発明したきっかけは、足が不自由で雨の日には傘とステッキで両手が使えなかったことだそう。クニルプスはドイツ語で「小さな仲間」という意味だが、現在ではこのようにさらなる小型化が進んでいる Photo by iStock

ハウプトの発明は、それまで男性の容姿の一部とされ、片手を塞いでいた傘をポケットにも入るコンパクトなものに進化させました。クニルプスは、1965年にはジャンプ傘も発明しています。

さらに1952年には、武田長五郎商店(現・ホワイトローズ)の須藤三男社長(現・会長、1923-)がビニール傘を発明しました。こうしてみると、傘は人類の発見と進化の象徴として見ることもできるかもしれませんね。