コロナショック後の「急速な株価回復」、一体何が起きているのか?

実体経済と株価が大きく乖離する理由
近藤 駿介 プロフィール

火の手が上がった場所が異なれば消火方法が異なってくるのは当然のことだ。「ウォールストリート」から上がった火の手を抑えるためには利下げや量的緩和といった金融政策で「メインストリート」への延焼を防ぐのが合理的判断となる。

一方、「メインストリート」で火の手が上がり「ウォールストリート」に飛び火するリスクが高い場合には「ウォールストリート」への延焼を防ぐ、つまり金融システム崩壊を防ぐことが優先されることになる。

それは「ウォールストリート」に延焼した場合により大きな爆発を起こすリスクが、「ウォールストリート」から上がった火の手が「メインストリート」に延焼して新たな大きな爆発が起こすリスクに比較してかなり高いからだ。

この「メインストリート」と「ウォールストリート」を分断するために必要だったのが「信用緩和」だったのだ。こうした一連のFRBの適切な対応によって株式市場の回復に加速が掛かる格好となった。昨今の「実体経済から乖離した株高」は、FRBによる「メインストリート」と「ウォールストリート」の切り離し政策が成功した証しだといえる。

FRBがゼロ金利政策を復活させた際には、トランプ大統領の圧力に屈したという批判もあった。しかし、こうした見解はおそらく筋違いのものだ。

それは、FRBがゼロ金利政策を復活させたのはトランプ大統領の圧力に屈したからではなく、反対にトランプ大統領に決断を迫るための手段だった可能性が高いからだ。

利下げでは「金融システム不安」やそれに伴う金融市場の混乱を防げないと考えていたFRBは、一日でも早く「信用緩和」に踏み切るために一気にゼロ金利政策を復活させ、トランプ大統領に決断を迫ったのだろう。

 

FRBが「信用緩和」のもとでリスクの高い資産の購入に踏み切るということは、資産価格下落によってFRBが損失を被り、そのこと自体が金融不安を生み、ドルの急落など金融市場の混乱を招く原因になりかねず、ホワイトハウスの協力が必要不可欠だったからだ。

こうした事態を防ぐためには、FRBが損失を被ったときでも金融不安を招かないような十分な資金をFRBに準備しておく必要がある。パウエルFRB議長は、ゼロ金利政策を復活させることでトランプ大統領にその資金の準備を迫ったのではないだろうか。つまり、ゼロ金利政策を復活はトランプ大統領に突き付けた踏み絵だったということだ。

編集部からのお知らせ!

関連記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/