コロナショック後の「急速な株価回復」、一体何が起きているのか?

実体経済と株価が大きく乖離する理由
近藤 駿介 プロフィール

こうした「年金資金」のパッシブ化への流れを決定づけたのは、2014年に米国最大の公的年金基金カリフォルニア州職員年金基金(カルパース)によるヘッジファンドへの投資取りやめである。2016年度からGPIFのパッシブ化が急速に進んだのもこうした影響によるものだといえる。

「市場全体のリターンとは異なるリターンを目指すヘッジファンド」から引き上げられた投資資金が向かうのは当然「市場全体のリターンと同じリターンを目指すパッシブファンド(インデックス運用)」になる。

こうした資金規模が「景気」に連動しない「年金資金」が市場の主役になるにつれ、主要株価指数は実体経済から乖離する傾向が強まり、今回のような景気悪化局面で大きな「株価と実態経済の乖離」を生む要因となりえるのだ。

そうはいっても、こうした大きな流れが常に「株価と実態経済の乖離」を生むわけではない。足元の「実態経済から乖離したような株高」を演出したもう一人の主役として忘れてならないのがFRBの存在である。

 

FRBは何をしてきたか

新型コロナウイルスの影響が実体経済に影を投げかけ始めた3月になってFRBは矢継ぎ早に手を打ち始めた。

まず手始めに行ったのが2週間後の17日、18日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される予定されているなかで、それを待たずに3月3日に行った0.5%の利下げである。この利下げで政策金利の誘導目標を1~1.25%まで引き下げた。FOMC以外のタイミングで利下げに踏み切るというのは2008年以来の異例の決定だった。

さらにその12日後の3月15日にはFRBは政策金利の誘導目標を0~0.25%と一気に1%引き下げ、2015年以来のゼロ金利政策に踏み切った。

FRBの連続利下げに関しては「トランプ大統領の圧力に屈した」という見方も根強く、株式市場は直ぐにはFRBのゼロ金利政策復活を歓迎しなかった。FRBがゼロ金利政策を復活させた3月15日以降も株価は下げ止まらず、株価が底打ちし反発し始めるのはそれから1週間以上も後のことだった。

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