デモや暴動が報じられているアメリカでの警官による黒人男性殺害事件。NY在住のライター黒部エリさんによる寄稿第2回は、トランプ大統領が軍の介入も辞さないと言った「暴徒化した人たち」の正体についてまとめてもらう。差別に対する暴力に抗議をしている人たちの多くが暴徒化しているように思う人もいるかもしれないが、それは大きな間違いなのだ。

今回の全米に広がったデモの歴史的背景は? 黒部エリさん「ビリー・アイリッシュも抗議!黒人差別の根深い歴史・燃やされたナイキ」の記事はこちら

昼間のプロテストと、
夜間の略奪はべつのもの

アメリカで広がる「Black Lives Matter/ブラックライヴス・マター(黒人の命も大切だ)」のプロテスト運動は、すでに10日が経つが、まったく衰えを知らず、さらに広範囲にわたって行われている。

5月25日ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警官に頸部を膝で押されて「息ができない」と訴えつつも窒息死させられた事件が、抗議運動を引き起こした。

日本の報道では破壊された店や略奪ばかりが取りあげられ、それを見て、もし「デモ隊の一部が暴徒化して略奪している」という印象を抱いているとしたら、それは正確ではない。
プロテスターと略奪者は別ものだ。どこがどう違うのか、デモ隊に含まれる人たちを説明してみよう。

「抗議者」は若者中心、白人も多い

1)プロテスター(Protesters)

「ブラックライヴス・マター」を掲げて、警察による人種差別と暴力に反対し、平等をめざしているのがプロテスターだ。
昼間のデモやラリーの現場に実際に行ってみると、まず参加者が「すごく若い」と感じる。ほとんどがミレニアル世代Z世代の若者だ。

じつは参加者が若々しいのは、NYのデモではめずらしい光景だ。
「銃規制反対デモ」でも「女性のマーチ」でも、だいたい平均年齢が高いもので、白髪頭の参加者も多いのだが、今回はあきらかに若者主導になっている。
また若い女性もかなり目につく。とてもハードなデモ活動をしようと備えているようには見えない、カジュアルなスタイルの女性が多い。

そしてプロテスターには意外なほど白人も多く、アジア系、ラテン系など人種も混じっている
これも今までの黒人人権運動ではあまり観られなかった光景だ。
「ブラックライヴス・マター」は、前回の記事で書いた通り、警官の過剰な暴力で亡くなった黒人たちがあまりに多いため、2014年頃から始まったムーブメントだが、これまではNAACP(全米黒人地位向上協会)など、黒人層がメインだった。
それが今回は人種の垣根を超えたプロテストになっている
白人、あるいはアジア人で「BLM」を唱える者は「アライ」(同盟者)と呼ぶが、アライがとても多い。

また「無料の水があります、グラノーラバー、鎮痛剤、ペッパースプレー用のミルクもあります。遠慮せずに、無料」と提供しているボランティアもいて、かなり秩序だっている。

「無料の水があります、グラノーラバーがあります」と書かれた看板を掲げるボランティア 写真提供/黒部エリ