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マイナンバーの「落とし穴」…「ひも付け」義務化で切り捨てられる人たち

給付金がマイナンバー推進の道具と化す
竹信 三恵子 プロフィール

必要なのは「マイナンバーの強化」ではない

NPO法人「官製ワーキングプア研究会」理事長で、自治体の制度にくわしい白石孝さんは、ドイツなど迅速な給付が行われた海外の国々は、マイナンバーのおかげというより、個人の「確定申告」制度が原則で、そのための口座がすでにあり、ここへの振り込みがすぐにできたことが大きいと指摘する。これと、口座がない人向けの「小切手送付」の2本立てで迅速な給付を支えたというのだ。

必要なのは、会社経由の源泉徴収から個人単位の申告制度への転換、制度変更の手間をかけず、既存の制度をフルに生かして必要な個人に届けようとする政府の意欲、それを支える十分な公務員の確保、という意見だ。

さらに、「資産」の把握によって「真に貧しい人への給付」を目指すなら、預貯金だけでなく不動産や証券の把握も必要になる。貧しい人々への給付ならむしろ、既存の「住民税非課税者」「生活保護受給者」の方が使い勝手はいい、という。

それ以上に大きいのは、特別定額給付金について、総務省ホームページでは、「申請者(世帯主)のマイナンバーカードオンライン申請は、世帯主のみ行うことができます」とされていることだ。こうした規定をそのままにして預金口座に紐づけがされたとしても、世帯主の「紐づけされた口座」に振り込まれるだけで、必要とする個人には届かない。

 

それどころか、各個人の給付金を申請するかどうかまで、世帯主が決められることになる。

兵庫県加古川市はマイナンバーカードをめぐる窓口の混乱を避け、自治体の独自番号によるオンライン申請による迅速給付を考案して注目を集めている。ただ、ここでも「受給権者は世帯主」という規定に沿って、申請も受給窓口も、できるのは世帯主だけだ。

つまり、ここで必要なのは、戦前の「戸主」に家族を代表させる「家制度」を引きずった発想の転換であって、マイナンバーの強化ではない。