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香港はなぜ中国に統合できない? デモと国家安全法の裏にある意識

「国民国家」と「空白地帯」の衝突

国民国家「中国」と香港民主派の対立

グローバル化によって「国家」や「国民」といった概念の存在感は低下してきたように見えるが、実際はそうでもないことが新型コロナウイルスの流行や米中関係の悪化で日々鮮明になりつつある。

新型コロナウイルスの感染流行の中、多くの国は自国の国民以外の入国を原則認めていない。グローバル化の中でも「国家」のメンバーシップとしての「国民」が重視されている。

また、新型コロナウイルスの感染流行の中生まれた米中の対立関係は、国家という主語が国家という目的語を非難しているように、未だ国家や国籍が主語として有効なことを示している。

アメリカ政府が中国人のビザの厳格化を行ってきたことがその一例で、中国という国家への対抗措置を中国人という国民に対して適用している。「国家」と「国民」をセットで見なければこのようなことは起きない。

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このように「国家」と「国民」をセットで扱われる国家のあり方は「国民国家」と呼ばれてきた。「国民国家」では国家の内部の住民を国民としてまとまりを持たせようとする。「中国人」、「アメリカ人」、「日本人」という国民としてのまとまりの意識はいずれも近代以降に国家全体に広がったものである。

このようにグローバル化でも結局弱体化していかなかった「国民国家」というシステムだが、中国はこの国民国家というシステムをこれまで国民国家の空白地帯であった香港に拡大しようとし、香港の民主派と中国の間での対立が起きている。

この記事では「国民国家」としての中国、「国民国家の空白地帯」としての香港、そして香港で昨今起きていることが国民国家という観点でどのように説明されるか議論したい。