新型コロナウイルスの影響を一番受けたのは、子どもたちかもしれません。長期にわたる休校や外出自粛のなか、学校の友達にも会えず、孤独感や不安を訴える声が各自治体の相談窓口に相次いだといいます。

6月に入り多くの学校が再開しましたが、時差通学、短縮授業など、異例の事態は続いています。これまで「当たり前」だった、他人とのコミュニケーションの様相が大きく変化しているのです。

先が見えない時代、人間にとってもっとも大切なことは何か。自然の脅威、テクノロジーの進化をどう受け入れ、どう豊かに生きるか。山極寿一さんの新著『スマホを捨てたい子どもたち』(ポプラ新書)から一部抜粋でお届けします。京都大学総長でゴリラ研究の第一人者である山極さんと、「未知の時代」の人とのつながり方を考えてみましょう。

多くの高校生がスマホを手にしながら、「スマホを捨てたい」と言った

この頃、大学生ばかりでなく、高校生や小中学生と話をすることが多くなりました。大学の総長として大学の経営に取り組むことが本務ですが、これから大学に入ってくる若い世代のことをもっと理解しないと、将来の大学像は描けないなと思ったからです。

そこで、意外な反応がありました。ぼくが「スマホを使っている人は?」と聞くとほぼ全員が手を挙げるのですが、「スマホを捨てたいと思う人は?」と聞くと、結構多くの子どもたちが手を挙げるのです。生まれたときからインターネットがあり、スマホを身近に使って、ゲームや仲間との会話を楽しんでいるように見える若い世代も、スマホを持て余しつつあるのではないか、と感じたのです。

子どもたちに向けて講演する山極総長 『スマホを捨てたい子どもたち』より(写真/楠本涼)

今、人々をつなげているのは情報です。情報を取り損ねたら、読み間違えたらつながりが切れてしまう。そういう不安に駆られている人々はスマホに頼ります。だけど、人々はそうしてつながっていることに安心感や充足感を覚えているんだろうか、と気になります。