久米宏が、テレビは「面白い」と「楽しい」を勘違いしていると語った理由

テラスハウスの悲劇にもつながる

ゲラゲラ笑うところもあるけれど

「『テレビがつまらない』といわれるのは、制作者が『面白い』と『楽しい』を勘違いしているところがあると思う」

そう語ったのはTBS出身のフリーアナウンサー・久米宏氏(75)。日本民間放送連盟(民放連)が発行する隔月刊誌『民放』の5月号に掲載されたインタビューでのことである。

『面白い』と『楽しい』。どう違うのだろう?

「今でいうと、『ポツンと一軒家』(朝日放送=テレビ朝日系、日曜午後7時58分)は面白い番組ではなく、楽しい番組なんです。ゲラゲラ笑うところもありますけど、『この人はここで生きているんだ』という楽しさがある。番組がどうもうまくいかない、またしても打ち切りになりそうだという原因のひとつは、面白がらせようとしているからではないでしょうか」(『民放』5月号、久米氏のインタビューより)

面白がらせようとしているとは何かというと、無理に笑わせようとしたり、驚かせたようとしたり、あるいは泣かせようとしたりすることらしい。

『久米宏のTVスクランブル』に出演する1983年当時の久米宏氏(講談社写真資料室)

久米氏はこう続けた。

「これからは観ている人の心が和らぐ、楽しい番組作りをしていかないといけないでしょう。放送は日常ですから、『面白い』じゃなくて、『楽しい』で十分なんです」(同)

久米氏は自らも企画に携わった『久米宏のTVスクランブル』(日本テレビ、1982~85年)や『ニュースステーション』(テレビ朝日、85~2004年)などの番組を次々と大当たりさせたテレビ界の大立者。単なるアナとは別格の評価を受けている。

 

筆者も12年前にインタビューする機会を得たが、テレビというメディアを知り尽くしていた。そんな久米氏の言葉だけに、今回の指摘も正鵠を射ている気がしてならない。考えてみると、今のテレビ界で長く人気を博しているのは大半が「楽しい番組」なのだ。逆に「面白い番組」の多くは悲劇や不幸、あるいは苦い結末を生んでいる。