ハンコから脱却しても「電子署名」という遺物が日本のIT化を妨げる

マイナンバーが何の役にも立たない現実
野口 悠紀雄 プロフィール

立会人型の電子署名は有効か? 法務省の見解は揺れる

しかし、法務省は、立会人型の電子契約書について、「電子署名法に基づく推定効(文書が有効だと推定されること)は働き得ないと認識している」との見解を5月12日の政府の規制改革推進会議の会合で示した。現在日本で使われている電子署名の有効性を否定したわけだ。

ところが、一方で、取締役会の議事録承認について、クラウドでの電子署名を法務省が容認したとのニュースもあった。「当事者がネット上の書類を確認し、認証サービス事業者が代わりに電子署名するのも可能となる」と報道されている。

新型コロナウイルスの感染防止策として、手続きを簡素化したいとする経済界の要望を反映したのだという。

このように、クラウド立会人型の電子署名については、それが有効なのかどうかの判断がはっきりしない。

推進会議での見解が12日で、取締役会についてのニュースが5月30日だから、半月ほどの間で、方針が変わっているように見える。

電子署名そのものが古い技術

英米では、立会人型のクラウド上の電子契約が広く普及しており、判例で有効性が認められている。

だから、日本でもこれを普及させればよいという意見が多いのだが、問題なしとしない。

この方式では、立会人である弁護士などに、真正性の証明を行なう権限を与えている。これは、公証人制度と似たものだ。

 

しかし、個人が行なう真正性の証明に全幅の信頼を寄せてよいかどうかは、疑問だ。

また、この場合の本人確認はメールアドレスなどで行なわれているが、それで十分かどうかという疑問が残る。

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