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ハンコから脱却しても「電子署名」という遺物が日本のIT化を妨げる

マイナンバーが何の役にも立たない現実

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が進み、「ハンコ文化」見直しの機運が高まっている。しかし、現実には、事態は進展していない。

基本的な問題は、20年前に施行された電子署名法が、その後の技術進歩を反映しておらず、古い技術を前提にしていることだ。

法で想定されている電子署名は使いにくい

2001年に施行された電子署名法において有効とされている電子署名は、ICカードを用いるか、あるいは、利用者が認証サービス事業者に自らを証明する書類などを提出し、事業者が電子証明書の入った電子ファイルを発行する。それを使って当事者同士が署名をすることになっている。

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しかし、認証サービス者からいちいち認証を受けるのは面倒なので、この方式は実際にはあまり使われていない。実際に使われているのは、以下に述べる「クラウド型」と呼ばれるものだ。

署名と署名に必要な鍵をサーバーに保管し、全ての手続きがクラウド上で済む。本人確認も、メールアドレスや2段階認証を活用すれば短時間で済む。

電子契約利用企業の約80%がクラウド型を利用している。

国内で8割のシェアを握る弁護士ドットコムの「クラウドサイン」などは、当事者同士が電子署名をしない「立会人型」と呼ばれる形式だ。

 

ネットに上げたPDFの契約書などの書類を双方が確認し、合意すれば、立ち会った弁護士ドットコムが自らの名義で「契約書が甲と乙によるものであることを確認した」と電子署名する。

契約の当事者が電子署名の印鑑証明に相当する電子証明書などを取得しなくてもすむため、手続きが簡単だ。