ビジネスマン必修、厄介な相手を思いのままに動かす「スゴい法則」

あの大物政治家も使ったワザとは
木村 和美 プロフィール

『人を動かす』の魅力はどこにある?

ではなぜ、この本が世界的なロングセラーとして、初版の刊行以来、長い時を経ても変わらずに世界中の人を魅了し、支え、それぞれの問題を解決する助けであり続けてきたのでしょうか。

作家スティーブン・ワッツ(1952~)が2013 年に出版した評伝の翻訳『デール・カーネギー』(河出書房新社/菅靖彦 訳)に、そのヒントが書かれています。すなわち、貧しかった少年時代から、豊かになることに憧れ、「成功するということはどういうことなのか」「どうすればそれを達成できるのか」という課題を常に追求してきたことの彼なりの答えが、この本には凝縮されているからでしょう。

 

ワッツによる評伝の原題が『Self-help Messiah』(自己啓発の救世主)となっていることからもわかるように、カーネギーの『How To Win Friends and Influence People』には希望が満ち溢れており、それはまるで、人間関係に悩む人々に救いの手を差し伸べてくれるかのようです。

●自分は「価値がある人間だ」と自信を持ちたい。

●周りの人と円滑な人間関係を築きたい。

●成功して豊かな生活を楽しみたい。

このような願いを持つ人たちにとって、彼のメッセージは強く訴えるものがあります。それは、カーネギー自身が小さい時から貧困の中で苦労し続け、劣等感に悩んだり、仕事で思ったような成果を出せなかったり、という苦労続きの人生を経て、少しずつ、成功への道を切り開いてきたからです。

誰にとっても役に立つ、カーネギーの教え

カーネギーが提唱しているのは、「批判はやめよう」「相手の良いところを認めてほめる」「いつも笑顔で」など、一見、ごく当たり前のアドバイスですが、「相手を受け入れることで自分も豊かになる」という、実は奥の深いメッセージなのです。

さらに良いことに、実行するのが簡単で、しかも効果が絶大の、実践的な提言ばかりです。そして、カーネギーの提案する原則は、誰にでも、どんな環境でも使えるものです。

私が大学で英語を教え始めてから20 年以上が経過しましたが、ここ10年ほどは本書を教科書として使っています。東京外国語大学の英語セミナーのクラスで用いたのが最初で、それ以来、他の大学でも主にリーディングのクラスの教科書として使ってきました。

私自身がこの本に出会ったのが40 代の終わりで、「もっと早くにカーネギ―の本を読んでおけばよかった」と後悔し、彼のアドバイスを知っていたら、「あの時、もっとうまく対処できたのに」とか「人間関係で悩まなくてもすんだのに」と残念に思ったからです。