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AIに子育てを任せたら、子どもも親も「奪われるもの」がある

考えるための「発達」の2つのポイント
私たちの生活に、AIは欠かせない存在となってきました。近い将来、子育てまでAIに任せる時代はやってくるのでしょうか?

3ヵ月ほどの休館を経て今月から再オープンした日本科学未来館では、10年後の未来のコミュニケーションとテクノロジーについて考える「ビジョナリープロジェクト」がおこなわれ、その成果が常設展「ビジョナリーキャンプ」として公開されています。

この企画の中で、「AIと子育て」というテーマに取り組んでいるのは、中央大学文学部心理学研究室教授の山口真美さん。

AI時代においても、子育てに「欠かしてはいけないもの」があるそうなのですが――。

AIによる子育ては可能か?

10年後の未来は、どのような世界になっているのでしょう。

日本科学未来館の「ビジョナリープロジェクト」のなかで私は、一般応募から選ばれた大学生から26歳までの社会人女性3人と一緒に、「AIに子育てを任せられるか」というテーマについて考えています。

仕事をしながら子どもと暮らすための手段として、AIを使えるか――このテーマは、若者世代の彼女たちから出てきたものですが、これは単純に明るい未来を考えるというよりも、もやもやした葛藤を伴うものでした。

十分に子どもと向き合う時間が持てないかもしれない、という働く女性をめぐる不安が反映されているようです。

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AIに子育てをゆだねたいけれど、もしそれで万事うまくいったとしたら、親としての自分の役割はどうなるのか……そんな戸惑いに似た気持ちが見え隠れしています。AIと私たち人間との関係を暗示させるものといえましょう。

問題を「解決」するために生まれたテクノロジーのはずですが、そこに葛藤が生まれるのです。

このもやもやとした気持ちの背景には、私たちが考えていくべき課題が隠れています。AIに子育てを任せるという行為には、「発達」の2つの重要なポイントが含まれているからです。

そのポイントについて、説明していきましょう。

親になるにも「学習」が必要

発達とは子どもが大人になるまでのこと。大人になったら発達もおわり。子どもが生まれたら自然と「親」になる――多くの方がそのように思いこんでいないでしょうか?

それは、大きな誤りです。