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ルフトハンザ公的支援の紛糾で露わになった「EU政治の泥沼化」

ドイツの札束は必要だが…

ルフトハンザ救済案の行方

EUは、EU域内の往来を6月15日から自由にすることを決めた(ヨーロッパでまだ制限が残るのは、イギリス、スペイン、ノルウェー)。夏のバカンスを可能にし、少しでも景気の回復を図ろうということだ。

とくにイタリアは観光業への依存が高く、観光客の回復に大きな望みをかけている。ただ、ホテルも、レストランも、あるいは海浜ビーチでさえ防疫の規則が結構厳しいため、観光客の戻るスピードは遅々としたものになるだろう。

なお、私たち日本人にとって気になるのは、EUとEU域外の国々との往来だ。こちらは、いつ解禁になるかが、まだ定かではない。

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現在、ルフトハンザ・ドイツ航空は乗客数が99%も減り、倒産の危機に瀕している。それをドイツ政府が90億ユーロ出して助けようとしたところ、EUの欧州委員会からチャチャが入った話を先週書いたが、それをもう少し掘り下げたい。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72923

欧州委員会というのはEUの行政執行機関で、いわばEUの内閣。EU法を準備し、施行し、それが遵守されているかどうかを監督する。委員長はEUの最高権力者であるが、去年の12月からドイツ人のフォン・デア・ライエン氏が務めている。

ただし、ルフトハンザの救済にケチをつけているのはフォン・デア・ライエン委員長ではなく、副委員長のマーガレーテ・ヴェスタガー氏(デンマーク人)。EU内の競争の平等を監督する任務を担っている。

彼女によれば、今回行われようとしているルフトハンザ救済は、ドイツ政府によるドイツの民間企業の強化であり、EU内の平等な競争を保証する法律に觝触するという。そこで、その救済を認める条件として、ルフトハンザがフランクフルトとミュンヘンの空港で持っている優先的な発着枠の縮小を求めた。これで、競争の平等を担保しようというわけだ。

 

先週も触れたが、フランクフルト空港は、アジアやアメリカなどから来る多くの飛行機の目的地であり、多くの乗客はここで乗り換えて、さらにドイツの国内、およびヨーロッパの各地に向かう。あるいは逆に、ヨーロッパの各地からここへきて、遠距離の国際便に乗り換える。いずれにしても、ここから航路が世界に向かって放射線状に広がっている。

そして、まさにこの重要な空港で、ルフトハンザは多くの発着枠を確保しているため、いい時間に都合よく、自社の飛行機の運航スケジュールを組めるのだ。

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