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生産性が下がる?子育てが楽になる?「リモートワーク」3つの誤解

人と人の信頼関係を問う「新しい働き方」

緊急事態宣言解除後の5月26日、日立製作所は今後も在宅勤務を働き方の中心に据えると表明し2021年4月以降、国内従業員の出社率を全体の「50%」にとどめる方針を発表した。NTTも6月以降、国内のグループ約280社の間接部門を対象に在宅勤務を5割以上にする方針を決めた。

企業ごとに程度の差はあれど、リモートワークがコロナ後の「ニュー・ノーマル(新常態)」において新しい働き方、常識の「価値観」となることは間違いないだろう。それを実現するためには新常態に合わせた新しい人事制度との両輪が不可欠となる。

今回の急激な変化を伴うリモートワーク導入は当初、現場に大きな混乱をもたらした。明確な指針がないまま対応せざるを得なかった働く子育て世帯からは不安の声があふれ、管理職の中には「目の届かないところで社員が業務をこなしているのか」を心配し、監視ツールを導入した企業もあるという。

「会社にいないと、生産性が下がるんじゃないか?」
「在宅だったら、子育てと仕事の両立も楽でしょう?」

そんな、経験と認識不足から生まれた、リモートワークにまつわる誤解の数々。

世界中が大きな転換期にある今、「ニュー・ノーマル(新常態)」の成功を阻害する要因は、旧来型の監視システムの存在だといわれている。変革を好機と捉えられるか、ビジネスパーソンの肉声を届け、その誤解を解く。

取材・文/丸山香奈枝

リモートワークは「監視を助長」するか?

リモートワークの導入にあたり、「上司の目の届かないところで、部下がサボらずに仕事をするのか」懸念していた企業は少なくないだろう。そのため、社員の働きぶりを「見える化」するシステムを導入した企業もあるという。

一部報道によれば、「パソコンのデスクトップ上にある『着席』『退席』というボタンを押すことで、日々の勤務時間が記録される」「仕事をしている間のパソコンの画面がランダムに撮影され、上司に送信される」システムの導入が広がっているようだ。

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もはや、管理を超えた「監視」をイメージさせる。たしかに「監視」はモチベーションや生産性を下げる。

実際のところ、一部の企業が懸念するように、リモートワークは「監視を助長」する働き方なのだろうか?

 

誤解1 対面の会議のほうが意思疎通が図れる?

緊急事態宣言後に「半分在宅」という新常態にいち早くかじ取りをしたNTTコミュニケーションズ株式会社(NTTグループ)では2002年からリモートワークの実証実験をはじめ、2017年には社員の事情に関わらず働きやすさを重視したリモートワークを本格的に導入した。さらに2020年2月からは派遣社員を含めた全社員にリモートワークの推奨を開始している。

プラットフォームサービス本部 アプリケーションサービス部 AI推進部門で「Takumi Eyes」と呼ばれる防犯対策ソリューションを提供している宮原拓磨(26)さんは、意外なことに「リモートワーク導入後はコミュニケーションの機会が以前より多くなったと語る。

「以前は会議室が埋まっていてなかなか取れないことが多くありました。私は30分近く場所を探していたこともあるくらいです。リモートワークになってから会議室がなかなか取れない問題が解決し時間さえあえばすぐに会議ができます。会議室を探すために使っていた時間は他の仕事に使えるため、私にとっては時間の使い方が有意義になりました」

しかし、時間は増えても実際に顔を合わせた方が意思疎通が図れるのではないかと水を向けると、そこでも理にかなった工夫がされていた。

「顔を合わせる会議の利点はたくさんあります。でも往々にして発言する人が偏ってしまうというデメリットがあることも事実です。発言しない人は決して意見がない人ではありません。その点、(Microsoftが提供するツール)Teamsではチャットも使えるので、従来の顔を合わせた会議では発言に躊躇していた人がチャットに書き込み、意見が見える化できるようになりました。そこから生まれた議論が発展することは多いです」