現在スーパーに勤務する風間詩織さんは、もともと料理本の編集者。その後居酒屋チェーンの会社に転職。居酒屋休業をせざるを得なかった時期に、会社が斡旋したスーパーで勤務した2児の母だ。スーパーでホットケーキミックスや小麦粉は品切れなのも目の当たりにしたことから、「スーパーで手に入るもので簡単に美味しく作れるレシピを考えたい!」という気持ちがムクムク。

そこで風間さんがヘルプを頼んだのは、人気料理家の飛田和緒さんだ。『常備菜』では料理本大賞を受賞し、コロナ自粛の今、電子書籍として買ってすぐスマホで読めるオリジナルレシピブック『わが家の定番 家族ごはん』も3冊刊行したばかりだ。これまで、バターと小麦不要のおやつレシピ、食パンアレンジ、ヨーグルト応用術を教えてくださった飛田さん、ある材料で美味しくつくる天才の飛田さんが教えてくれる、「すぐに手軽に美味しくできる『ご飯』レシピ」とは?

2カ月半のスーパー勤務で発見したこと

緊急事態宣言が解除され、本業の居酒屋もいよいよ営業再開です。休業中お世話になったスーパーの勤務も、5月で終了となりました。もちろん東京では即座にアラートとなり、誰もが気を緩めてはなりませんが、飲食業も少しずつ再開となります。

たった2ヵ月半のお仕事でしたが、スーパーの売り場での経験はたくさん発見がありました。

一番強く感じたのは、パートさんとして働くママさんたちの素晴らしさです。
お客さまが卵を割ってしまった時のこと、卵液したたるパックを持って、おろおろする私の横を、モップを持って現場に走るスタッフ、床の液だれをペーパーとアルコールできれいにふき取るスタッフ、待っているお客さまに「大丈夫ですよ」と伝えに行くスタッフ、指示も相談も何も交わすことなく、スムーズな連携によって、2分後には全てきれいに終わっていました。また、私が慣れない手つきで品出ししている横で、メモを片手に商品の発注をする姿は、颯爽としていていつもカッコイイなと思っていました。

ビジネスシーンで有能な働く女性たちをたくさん見てきました。最近こそ、産休育休を超えて働き続けるママさんも増えてきたものの、15年ほど前は、出産を機に会社を辞める方が半数以上いました。そうした有能な女性たちが会社を辞め、今はどうされているのかと、時々思い出したりしていましたが、こうした場所におられたのです。

お子さんが小さいうちは家事に育児に専念され、お子さんが中学に上がったり、高校受験を終えたところで再び働き始められたママさんたちは、重要なスタッフであると同時に、大事な地元のお客さまでもあります。家族の食事づくりを支え、毎日のように買い物をするママさんたちの「商品を選ぶ目」は、非常に肥えています。ゆえに、店長や売り場責任者は、ママさんスタッフの率直な声を、とても大事にしています。

緊急事態宣言が解除になった翌日も、朝礼で、子どもの学校再開について質問されました。「休校中でも働いているのに、なぜ聞くのか?」と思いきや、売り場責任者が聞きたいのは、「学校が再開され、お昼需要がどうなるか」ということでした。「当分、給食はなし」「お弁当もなし」となれば、学校が始まっても、昼食事情は今とあまり変わらないからです。給食が始まるまでは、冷凍食品や総菜や調理パンの仕入れ数は、現状のままでいいということなのです。

他にも、「この野菜、1200円でどうだろう?」「今日からドリアンを売るけど、試食してみる?」といった、値ごろ感や季節商品の印象などを、雑談に交えながら常にリサーチしていました。聞かれたママさんたちも、そうした質問に対し、「1200円? 高い、高い、買わないな」とか「うわっ、この匂いダメかも」などと率直な感想を口にします。
ママさんたちが言いたいことを言える風通しのよい職場であれば、マーケティングの会社を使ったり、アンケートの手間をかけなくても、欲しい情報がその場で集まるというわけです。

共通の悩みは「日々のごはん」

そうしたフランクな職場で、私も働くママの一人として、ママさんたちといろいろ話してみると、子どもが小さかろうが大きかろうが独立していようが、ママさんたちが知りたいのは、やはり「日々のごはんづくり」をいかに軽くできるかでした。確かに私自身、仕事から戻れば、ベランダには湿り気を帯びた洗濯物が、リビングには猫の毛が舞い、机の上は子どものプリントが散乱した中で、冷蔵庫をかきまわしながら夕食の準備を始める。緊急事態宣言が解除されても、私の緊急事態な毎日は変わりません。

朝、家にいる子どもに用意していくおにぎりも、「いつも梅干しかツナだよなあ」とか「おにぎりならセブンの方がうまいと思う」と言われたい放題。
やっぱり知りたいのは、「あるもので、さっと作れて、おいしい」もの「体にもよく、家族にも喜ばれるごはん」なのです。麺類もパンもありますが、やはりその中心はお米、つまり「ご飯」ではないでしょうか。

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そんなわけで、スーパー勤務の最終週に、飛田さんに、一品で満足できる「ご飯」のレシピをお願いしました。

「あるものでさっと作れて、体によくて、小さい子にも高校生にも喜ばれるご飯ね、了解」

一汁三菜が理想なのはよくわかりますが、それは時間に余裕のある週末に考えるとして、これさえ作ればなんとか今日の夜はしのげる、そんなレシピをぜひうかがいたいと思っていた私のところに飛田さんから届いたレシピを、飛田さんご自身の言葉と共にお届けします。