アメリカ黒人殺害事件…前代未聞の「抗議デモ」その深すぎる闇

ソーシャルディスタンスも関係なく…
笹野 大輔 プロフィール

「システム化された人種差別」の正体

自らの意思で移民してきた南米系の人たちは黒人たちと歴史は違うが、アメリカのニュースでは今回の抗議活動において「ブラック(黒人)とブラウン(南米系)の人たち」とアナウンサーが話すので、今回の問題の本質は黒人と南米系の「約3割の人たちへの不公平」であると認識しているのだろう。

そこで鍵となる言葉は、ニュースでもたびたび聞く「システミック・レイシズム(システム化された人種差別)」である。これがアメリカの人種差別の病巣になっているのだ。以下に代表的なデータを抜粋する。

アメリカの黒人の人口は12.3%だが、黒人の富はアメリカ全体からすると2.7%しかない。白人家族の収入の中央値は13万4千ドル(約1千450万円)だが、南米系は1万4千ドル(約150万円)、黒人は1万1千ドル(約120万円)。白人女性の年収の中央値は4万1千ドル(約445万円)だが、南米系女性は140ドル(約1万5千円)、黒人女性は120ドル(約1万3千円)※1

破壊や略奪行為に机を叩いて怒りを表すニューヨークのデブラシオ市長
 

アメリカの黒人の失業率は常に白人の2倍。2013年の黒人失業率は13.4%、白人は6.7%。求職の際、もし黒人が白人の名前で履歴書を出すと返事が1.5倍になる※2

アメリカの特定警戒地区指定(黒人や南米系の人が多く住む貧困層エリア)では、連邦融資支援の対象外となっているため、貧困層の黒人家庭は住宅ローンを組むことが難しい。白人の持ち家率73.1%だが、黒人の持ち家率40.6%である※3

アメリカ人の2017年の刑務所への収監人数は、黒人が約47万5千万人、白人は43万6千万人……など、人口の割合が12.3%しかない黒人なのに、異常な数値を出していたり、見えない規制や偏見があったりして機会が失われている。ニューヨークで生活していても、あからさまな黒人差別は見ることはない。むしろ、誰もが平等に暮らしているとさえ思える。だがこれが「システム化された人種差別」の正体なのだ。

※1 ソース:デモクラシー・ナウ!
※2 2013年ビューリサーチセンター
※3 2019年アメリカ国勢調査