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黒川騒動で置き去りの「国家公務員定年延長」という大いなる宿題

まだ議論は終わっていないのに

日本人の雑な「官僚イメージ」

黒川東京高検検事長(当時)の任期延長問題に端を発した検察庁法改正案への猛反発により、巻き添えを食らって仕切り直しになったのが国家公務員法改正案である。

検察官の定年延長の話ばかりがクローズアップされ陰に隠れてしまったが、今後10年弱の期間をかけて、一般的な国家公務員の定年年齢を60歳から65歳にまで引き上げようという国家公務員法改正のほうが、もともと「本丸」のはずだった。

だが、もし仮に今回検察の問題がなかったとして、この法案について建設的な議論が行われただろうかといえば、筆者には大いに疑問がある。

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定年延長問題に限らず、国家公務員の処遇が話題になるとき、マスメディアの論調や国民世論の動きはいつも「国家公務員=キャリア官僚=悪者」的な思考に引きずられがちだからだ。

「権力」「激務」「それなりの厚遇(中小企業を含めた世の中全体では厚遇だが、激務とは不相応)」の3点セットで、ある意味「悪目立ち」してきたキャリア官僚。しかし国家公務員全体からみればかなりの少数派。数え方にもよるが、せいぜい7%程度に過ぎない。

また、国家公務員というとすぐ霞が関のことばかりイメージしてしまうのも、同様に偏った視点である。国の役所は日本全国を相手に仕事をしているので、霞が関の下には東北、近畿、九州など各地方を統括する管区機関、府県単位の機関、さらに担当地区が細分化された税務署やハローワークなどの地方出先機関がある。