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「オールドによるオールドのためのオールドな日本」でいいのか?

もはやこれは「現役世代虐待」だ

蔓延する「後ろ向きな姿勢」

朝香豊氏の人間経済科学研究所・寄稿「「農家保護」政策は止めるべき! 農地の徹底活用を考えるべき!」は、日本の農業問題を鋭く分析しているが、その中で「日本の農業は意外に高齢化していない」ということも指摘している。

日本の農家の平均年齢は1990年には59.1歳であったが、2019年には66.8歳となり、20年ほどの間に7.7歳高齢化した。たしかに8歳近くも歳をとっているわけだが、日本全体の高齢化はもっとすごい。

1990年の日本人の平均年齢は37.0歳だが、2020年には48.4歳となり、この間に11.4年も伸びているのだ。日本の農業は年寄りばかりで衰退産業だと思われているが、もしそれが正しければ「日本全体の方が年寄りばかりで衰退」への道を歩んでいることになる。

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衛生環境や医療が進歩して、世界的に長寿となり、日本人がその最大級の恩恵を受けていることは、決して悪いことではない。私も個人的には長寿の恩恵を受けたいと思う。しかし、個々の人間に良いことが社会にとって良いことだとは限らない。

高齢者の数が増えて「少子高齢化」が進むこと自体はそれほど大きな問題ではない。例えば戦後の日本で機械・ロボット産業が発展したのは、当時中学卒業生が「金の卵」と呼ばれるほどの極端な人手不足のせいで、自動化・ロボット化のニーズが高まり、その需要にこたえるべく猛烈な勢いで研究開発が行われたからである。

機械・ロボット産業が日本経済の発展を支えたことを考えれば、「日本の高度成長は『人手不足』のおかげ」と言っても過言ではないかもしれない……。

しかし、そのような「危機を追い風に変える」という離れ業を実行できたのも「『日本の心』が若々しくチャレンジ精神にあふれていた」からである。

 

個人ではなく、社会そのものが「高齢化」してしまったら、「自分は何もしないで小言ばかりを言う後ろ向きの姿勢」が蔓延するかもしれない。私が恐れているのは「個人の高齢化」ではなく「社会の高齢化」である。社会そのものが高齢化してしまったら、「危機を追い風に変える」など期待できるはずがない。