ナゼ?「なでると軽くなり、叩くと重くなる」不思議な石の正体

実際に奈良まで行って確かめた
小林 公夫 プロフィール

まずは「素の重み」を…

降車した洞川温泉のバス停近くで村人に道を尋ね、“なで石” のある大峯(おおみね)山龍泉寺へと向かった。温泉郷・洞川にほど近い龍泉寺は予想以上に大きい寺であった。

門をくぐると、左手には大玄関がある。右手には浅く広い池、更にその奥には八大龍王堂が建つ。なで石は、その池の端にあった。

柵で囲まれてはいるが、あまりにもさりげない置かれ方だ。柵の中は上下2段に仕切られており、ほぼ同じような直径20cmほどの大きさで、きれいな球形をした滑らかな石が2つ置かれている。

境内に安置されている2つの石
 

平日にもかかわらず、すでに幾人かの先客がいた。

和歌山県から来たという3人の女性観光客が、少々躍起になってかわるがわる何度も石を撫でては持ち上げ、また叩いては持ち上げ、声をあげていた。

1人の女性に聞くと、「撫でてから持ち上げると、心なしか軽く感じます。けれども叩いて持ち上げた時ははっきりしていて、ずしりと重たく感じます。パワースポットということを耳にして天河神社とともに訪れたのですが、やはり何かを感じます」

ついにその時が来た。女性観光客に替わって私は “なで石” に近づくと、手順通り、おもむろに上段の石を持ち上げてみた。

まずは、撫でも叩きもせずに「素の重み」を感じねばならない。自然な丸みを帯びた石は思いの外表面も滑らかで、吸い付くように両方の掌に収まった。スーッと持ち上げてみる。ずっしりとしている。おそらく5kg程度はあるだろう。この基準となる重みを忘れないように、静かに元に戻す。