「ワークマン」VS「ノースフェイス」、新時代のアパレル覇者を占う

ウィズコロナの時代で勝ち残る方法
磯部 孝 プロフィール

作業従事者による集客こそ基本路線

ワークマンの商品別売上高構成比(下図)を見てほしい。直近の数字を見てもカジュアルウエアは12.9%と、ファミリー衣料を加えても2割(21.5%)に過ぎないのが分かる。

残りの部分は圧倒的にワーキングウエアと作業用品が占めているのである。つまり、TVコマーシャルやメディアで取り上げられるような、カジュアルに浸透しているというよりも、「ワークマンプラス」というネーミングの下に作業従事者を含めた集客と売上が、あくまで同社の基本路線であるわけだ。

 

消費増税、記録的な暖冬とアパレル各社が苦戦した2019年度の商戦を振り返っても、ワークマンの快進撃はとどまることを知らなかった。

2020年3月まで既存店売上高が17ヵ月連続で二桁増を記録。その中でも注視したいのは2019年8月の売上だ。

「魔の2・8商戦」と呼ばれるように、アパレル小売りにとって、2月、8月はセール明けで季節的に最も厳しく衣料品の売上が難しいとされる月度である。そんな8月において、売上高増減率が54.7%増、客数34.2%増、客単価15.3%増の“3増”という驚異的な数字を叩き出したのだ。

その原動力が『空調ファン付作業服』という、コンパクトファンを衣服にセットして体を冷やすという画期的な作業服だ。

8月の酷暑も背景に売れ行きに拍車がかかったのだが、夏物商戦は秋冬商戦と比べても買い上げ単価が下がってしまう傾向にある。そんな中、付属品や専用アウターを合わせると2万円も近くなる『空調ファン付作業服』が、「魔の2・8商戦」を切り抜ける救世主的なヒット商品となったのだ。こうしたところにも、前述の通り、作業従事者による集客が下支えしていることが見て取れる。

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