新型コロナ第二波流行に備えて、いま「私たちができること」とは

正しい情報のもと、基本の防御策を
宮坂 昌之 プロフィール

コロナウイルスは、RNAを遺伝子とするRNAウイルスの一種です。

 

「コロナ」とは王冠のことで、ウイルス表面に王冠状の小突起が電子顕微鏡で見えることから、この名前が付きました。人に感染するコロナウイルスには主に、次の4つのタイプのものがあります。

(1)かぜ症候群を起こすコロナウイルス

一般に、発熱、咳、鼻水、のどの痛みなどのかぜ症状を起こす病気をかぜ症候群といい、その病原体はウイルスです。実は、かぜ症候群のうちの10~15%は、すでに知られている4種類のヒトコロナウイルス(HCoV)によって引き起こされます。

つまり、コロナウイルスは、決して最近現れてきたわけではなく、以前から普通のかぜを起こす原因ウイルスの1つとして知られていたのです。

(2)SARS(重症急性呼吸器症候群)を起こすSARS-CoV

このウイルスは、コウモリから人に感染して重症肺炎を起こします。さらに、人から人に感染し、ウイルスが付着した飛沫を吸い込んだり接触したりすることによって感染が広がります。

このウイルスは宿主細胞上のACE2というタンパク質に結合して細胞内に入り込み、増殖します。SARSという病気の原因ウイルスです。

SARSは、中国の広東省から世界中に広がり、2002~2003年の間に世界中で8000人以上の患者と700人を超える死者を出しましたが、2003年に終息し、その後患者は出ていません。

【写真】広東省の病院で再流行に備える病院2003年9月、SARSの再流行に備える広東省の病院 photo by gettyimages

(3)MERS(中東呼吸器症候群)を起こすMERS-CoV

このウイルスは、ラクダからヒトに感染して重症肺炎を起こすMERSの原因ウイルスです。

MERSはサウジアラビアから感染が始まり、これまでに2500人以上の患者と850人以上の死者が出ています。

人から人に感染し、唾、咳由来の飛沫、接触などによって伝染します。現在はアラビア半島にウイルス陽性者はいるものの、流行はおさまっています。

【写真】MERS-CoVMERS CoV photo by National Institute of Infectious Diseases

(4)新型コロナウイルス感染症を起こすSARS-CoV-2

これが今回問題になっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病原体です。

2019~2020年にかけて中国・武漢市でその発生が報告され、前記の3種類のコロナウイルスとは異なる新型のものです。このウイルスは、SARSのウイルスSARS-CoVと遺伝子配列がよく似ているために、SARS-CoV-2と名付けられました(当初、2019-nCoVともよばれましたが、現在はSARS-CoV-2という名称のほうがよく使われています)。

国立感染症研究所が、2020年1月に分離したSARS-CoV-2 photo by National Institute of Infectious Diseases

このウイルスによる感染症COVID-19は、武漢市から始まり、中国全土で約8万人の患者と4000人以上の死者が報告されるとともに、ヨーロッパ、アメリカにも感染が急激に広がり、2020年5月22日時点で、世界中で480万人以上の感染者が出ています。非常に感染性が強く、高齢者が感染するとかなり高い頻度で重症化し、死亡します。

SARS-CoVと同様に、ACE2というタンパク質に結合して宿主の細胞に入り込み、増殖します。現在、急いでワクチンや抗ウイルス剤の開発が進められ、臨床治験が始まっていますが、確実に有効なものはまだありません。新型のウイルスなので、まだ不明な点が多いのですが、わかっている範囲でその性状を既知のコロナウイルスと比較したのが次の表です。

【表】コロナウイルス一覧ヒトに感染するコロナウイルス *は、稀に1⼈から多数に感染拡⼤する、いわゆるスーパースプレッダーが⾒られた(国⽴感染症研究所が作成したものを改変;https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

では、次ページで皆さんが関心の高い事柄について、わかりやすくQ&Aの形でご紹介しましょう。