安倍政権の第2次補正予算、「まだまだ全然足りない」と言えるワケ

財政投融資を活用せよ
加谷 珪一 プロフィール

事業規模総額と真水部分の乖離については後ほど議論するが、1次補正の真水部分は約26兆円、2次補正での真水部分は約32兆円なので合算すると58兆円で、予備費を差し引くと48兆円になる。

冒頭でも述べたが、筆者は感染拡大が本格化した当初から、経済への深刻な打撃を回避するため、個人や零細事業者に対する給付を中心に、最低でも50兆円程度の財政出動が必要であり、かつ、その財源は全額、国債で調達すべきと主張してきた。

その理由は、日本はもはや輸出主導型経済ではなく、消費主導型経済に移行しており、経済の主役である消費者を守ることは、そのまま経済対策につながるからである。

閑散とした居酒屋〔PHOTO〕Gettyimages
 

今回のコロナ危機では、4~6月期のGDPにおいて年率換算で20%以上、通年では数%の下落が予想されている。日本の名目GDPは約550兆円なので、単純計算で5%下落の場合には27兆5000億円、7%下落の場合には38兆5000億円の富が失われる。最低でも50兆円程度の財政出動がないと落ち込みをカバーできない。

財源についても同様である。コロナ危機によって、短期的ではあるが極端な需要ショックが発生している。多くの労働者が収入減少という事態に直面していることを考えると、減収になった労働者への支援策の財源に、別の税収を充てるのは合理的ではないだろう。

日本は何もない平時には、景気対策として盛んに国債増発が叫ばれるが、本来、赤字国債というのは、このような非常時にこそ思い切って発行すべきものである。当初、政府は個人への支援に消極的だったが、最終的には個人に対する現金給付が決まり、1次補正と2次補正を合わせた真水の総額は50兆円を超えた。紆余曲折はあったものの、最終的には正しい方向性に落ち着いたと考えてよいだろう。